市場調査やマーケティング事業などを手掛けるインテージのパッケージデザイン支援サービス「キマルAI」が、順調に顧客数を伸ばしている。2019年から提供しているサービスで、20年10月と11月には機能を強化。100万通り以上の組み合わせから、販売ターゲットに応じたデザインを約3週間で提案でき、国内市場向けだけでなく海外市場向けのデザイン開発にもすぐに対応できるという。

商品のコンセプトや狙いに沿ってデザイン素材を用意。それをランダムに組み合わせ、数十種類を生成し「第1世代」とする。ウェブのアンケートと深層学習による評価を行い、その結果を基に「第2世代」を生成。これを「第5世代」まで繰り返し、よりコンセプトや狙いに合ったデザイン案へと進化させていく(インテージの資料より)
商品のコンセプトや狙いに沿ってデザイン素材を用意。それをランダムに組み合わせ、数十種類を生成し「第1世代」とする。ウェブのアンケートと深層学習による評価を行い、その結果を基に「第2世代」を生成。これを「第5世代」まで繰り返し、よりコンセプトや狙いに合ったデザイン案へと進化させていく(インテージの資料より)

 最近は多くの企業がAI(人工知能)を活用し、新しいパッケージデザインを考えるサービスを提供している。キマルAIが他社と違う点は、AIの機能だけに任せず、販売ターゲットの生活者へのアンケートを組み合わせるプロセスがあること。市場調査やマーケティング事業を手掛ける同社ならではのサービスといえるだろう。

 「AIによるパッケージデザイン支援のサービスの多くは、デザインの傾向を分析して予測している。キマルAIでは生活者の意見も取り入れながら、最適なデザイン案を実行・生成している」と、開発を担当したインテージ事業開発本部リサーチソリューション部マネージャーの小木戸渉氏は説明する。

生活者の意見をデザイン案に反映

 キマルAIが採用している手法は、遺伝的アルゴリズムと深層学習の2つ。

 遺伝的アルゴリズムとは、生物の進化の仕組みを模倣し、最適解を探索するための手法。キマルAIは、ランダムに生成した初期デザインから、販売ターゲットになる生活者が高く評価したデザインを優先的に選択。交差(組み換え)や突然変異などの“遺伝的操作”を繰り返し、「世代」として最適解を探索する。すでにさまざまな業種のAIシステムとして活用され、効果を上げている考え方だ。今回は、人間による反応や回答を用いる対話型遺伝的アルゴリズムという手法を採用している。

 深層学習とは、人間が自然に行っている深い考察や推測、問題解決などをコンピューターに学ばせる手法の1つ。キマルAIは最初にデザイナーにレイアウト、背景、パーツなどのパッケージデザインの素材を準備してもらう。レイアウトは1~3、パーツ枠は4~10、パーツは2~10種類程度を推奨している。これで数千から数百万通り以上の組み合わせパターンができる。それらのパターンからランダムな組み合わせで80種類を生成し、「第1世代」として、販売ターゲットにウェブでアンケートを実施。その評価結果をコンピューターに学習させ、深層学習によりターゲット層が好むデザインを予測していく。

繰り返すことでデザイン案を洗練

 評価結果と深層学習の予測に遺伝的アルゴリズムを加え、評価の高いパッケージデザインに近いものを中心に「第2世代」のデザインを40個生成する。こうしたプロセスを複数回(第5世代まで)繰り返し、最適なデザイン案へと進化させていくわけだ。

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