2021年4月24日まで国立新美術館で開催され、盛況だった「佐藤可士和展」。日本を代表するクリエイティブディレクターである佐藤可士和氏がこの展覧会に込めた思いとは。ifs未来研究所所長の川島蓉子氏が聞いた。

クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏(写真/的野弘路)
クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏(写真/的野弘路)

無意識の意識化を試みた巨大な企業ロゴ

 展覧会でまず感じたのは、作品から放たれる強烈なエネルギーだ。空間が備えたパワーが心身を揺さぶってくる。創造的なものは理屈でなく感性や勘に訴えかけてくるが、この展示には気押されるものがある。感性や勘は五感の刺激を受けて動くものであり、強い創造性はそういった力を持っている。

 アートに限った話ではない。これは建築、インテリア、プロダクト、グラフィック、ファッションも同様だ。可士和さんの仕事が作品として展示されることで、訪れる人を驚かせたり楽しませたりする様子を見てそう感じた。

 特に印象的だったのは、手掛けたロゴを巨大なオブジェに造作した「THE LOGO」のコーナー。ユニクロ、楽天、日清食品といった企業のロゴが、ブランドにゆかりのある素材を用いた立体物になっている。日常になじんだデザインが非日常へと飛翔(ひしょう)している。「うわぁ!」「すごいね」と口にしている子どもや大人がいっぱい。知っているものが“別物”に見える意外性が満ちていて、普段は意識していないものが強く意識されるのだ。「見てくれる方の無意識の意識化を試みた」(可士和さん)という。

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