ヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD)は親ネコが子ネコをくわえた絵柄の新しい「クロネコマーク」を、2021年4月1日から使用を開始した。「クロネコマーク」のデザイン変更は1957年に制定して以来、初めてだという。新しいクロネコマークは、クロネコの親子の輪郭などをシンプルに整え、現代的な印象に仕上げた。

64年ぶりにリニューアルした「クロネコマーク」(左)と、新しく開発した「アドバンスマーク」(右)
64年ぶりにリニューアルした「クロネコマーク」(左)と、新しく開発した「アドバンスマーク」(右)

 リニューアルは、日本デザインセンター(東京・中央)の社長でデザイナーの原研哉氏が担当した。64年間、親しまれてきたクロネコマークをリニューアルした理由は、ヤマトグループの経営体制を再編したからだ。次の100年に向けた新たな動きの象徴として、「アドバンスマーク」と呼ぶ新たなマークも開発した。

リニューアル前のクロネコマーク
リニューアル前のクロネコマーク

グループ6社と統合、新たなヤマト運輸の誕生

 ヤマトHDは、20年1月に次の100年に向けて「YAMATO NEXT100」という中長期の経営のグランドデザインを策定した。1976年にヤマト運輸が日本で初めて開発した宅急便は、今や社会のインフラの1つとなった。その一方で、最近の急激な環境変化により、世の中のニーズは多様化している。

 今後もビジネスや社会の課題に応えながら持続的に発展していくために、ヤマトHDは宅急便のデジタルトランスフォーメーション(DX)を強化し、物流のエコシステムの確立を目指していくと発表した。ヤマト運輸が運んでいる荷物の数は増え続けており、20年度は約20億個。その9割がBtoBであり、法人向けの物流事業の強化も図っていくという。

 実際、ヤマト運輸が取り扱う荷物の数は19年度より20年度の1年間だけでも、約2億個増加している。それにもかかわらず、社員数を増やすことなく対応できたそうだ。それは、データ分析やAI(人工知能)の活用など、YAMATO NEXT100で掲げたDXによって集配や輸配送の生産性が向上したからだという。こうした次の100年に向けた抜本的な改革を一丸となってさらに加速させていくためにも、ヤマト運輸と主要子会社6社が統合。21年4月に、新たなヤマト運輸が誕生した。

(資材の画像はイメージ)
(資材の画像はイメージ)
段ボールや袋などの資材や、車両のデザインも順次リニューアルしていく。地域に根差す集配車両にはクロネコマークを、ビジネス領域や幹線で使用する大型車両にはアドバンスマークをあしらっている
段ボールや袋などの資材や、車両のデザインも順次リニューアルしていく。地域に根差す集配車両にはクロネコマークを、ビジネス領域や幹線で使用する大型車両にはアドバンスマークをあしらっている

 ヤマト運輸が目指すのは、宅急便事業の効率化に限ったことではない。例えば、物流事業で培ってきた先進技術やノウハウ、ネットワークを宅急便のためだけに活用するのではなく、他社のテクノロジーなどと融合させることで新たな価値に変換。既成概念にとらわれない新事業や新サービスなどを、開発していく計画だ。今回のロゴマークのリニューアルは、こうした企業意思を社内外に発信する狙いがある。その中でも特に、新たな事業やサービスの象徴が必要だと考え、アドバンスマークを開発した。

 ヤマト運輸コーポレートコミュニケーション部部長の阿部和彦氏は「クロネコマークは、企業シンボル。アドバンスマークは、事業シンボルという位置付けで開発した。アドバンスマークは、物流の枠組みを超え開発していく新事業や新サービスの『旗印』のような役割」と話す。アドバンスマークはクロネコマークよりも抽象度を高めていることも特徴の1つだ。

【ヤマトグループ公式】テレビCM「おばあさんと処方薬」編

 ヤマト運輸のテレビCMには、早速アドバンスマークが登場する。「次の運び方をつくる。」というヤマト運輸のスローガンと、「未来より先に動け。」というキャッチフレーズで、これまでの常識を超えた新しい取り組みを伝える内容だ。例えば、高齢の女性が自宅から処方箋をオンラインで薬局に送り、宅急便で薬を受け取る。他にも、仕事帰りの女性がカフェで荷物を受け取ったり、赤ちゃんを寝かしつけた男性が荷物を運んでいるドライバーに「玄関前に荷物を置いて」とメールを送ったりするシーンが描かれている。これらの映像の最後に、アドバンスマークが表示された後、クロネコマークが出てくる。ヤマト運輸が目指す未来を身近に感じられ、アドバンスマークが意図することも理解できるだろう。

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