文房具大手のプラスとセーラー万年筆が東京・銀座の一等地に文房具専門店「ancora(アンコーラ)」を出店。フランスのシャンゼリゼ通りにある文房具店をイメージしたというショップでは計144色の万年筆用インクを常時試せるほか、プロが客の希望に合わせてインクを調合する「インク工房」などのイベントも行われる。オープン当初から行列ができたD2C店の狙いを聞いた。
2021年3月下旬の土曜日、東京・銀座の外堀通りに面する一角に女性を中心とした行列ができていた。彼女たちが並んでいるのはオープンしたばかりの文房具専門店「ancora(アンコーラ)」。文房具メーカーのプラスとセーラー万年筆が共同で企画したD2Cブランドのリアルショップだ。
フランスのシャンゼリゼ通りにある文房具店をイメージしたというショップは「カスタマイズ」と「ギフト」がコンセプト。ペン先、蓋、胴など7つのパーツを選び、20万通りの組み合わせからオリジナルの万年筆を作れるコーナーや、3つのサイズの表紙の色や中紙のタイプ、リングの色などを選べるスケッチブックなど、ここでしか体験できないようなオリジナルのサービスを提供していることが特徴だ。
その他にも計144色の万年筆用インクを常時試せるほか、プロが客の希望に合わせてインクを調合する「インク工房」などのイベントも行われている。調合イベントは毎回すぐに予約が埋まってしまうほどの人気だ。ancoraを企画したプラス ステーショナリーカンパニーの執行役員 竹内淳子氏は、「出店の広告を一切出していないにも関わらずここまでの反響があるというのは、我々にとっても全くの予想外だった」と語る。
ancoraの背景にあるのは文房具業界が抱える危機感だ。文房具市場は08年のリーマンショック以降、法人需要が大きく減少している。矢野経済研究所によると2019年度の国内文房具・事務用品市場は3年連続のマイナス成長。ペーパーレスや少子化、コロナ禍が影響し、20年度は前年度比8.5%減とさらなる落ち込みが予測されている。
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