Zホールディングス(ZHD)とLINEの経営統合が完了した翌月の2021年4月、同グループの投資子会社であるCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)2社が統合を発表した。グループ内の具体的な事業統合はこれが第1号になる。新生CVC「Z Venture Capital(ZVC)」の戦略からは、ZHDが狙う次の“市場”が見えてくる。ZVCのミッションとは、そしてこれからの戦略は――。ZVC社長の堀新一郎氏に直撃した。
2021年3月、Zホールディングス(ZHD)とLINEの経営統合が完了し、新生ZHDの体制が発表された。ZHDはグループで、国内提供サービス200超、総利用者数3億人超、グループ従業員2万3000人を誇る巨大インターネットサービス企業となった。中核企業のヤフーとLINEを中心とした「検索・ポータル」「広告」「メッセンジャー」領域を主軸として拡充すると共に、「コマース」「ローカル・バーティカル」「Fintech(フィンテック)」「社会」の4つを重点領域と定め、集中的に取り組んでいくという。
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投資子会社の統合で、事業融合の号砲が鳴る
ZHDとLINEは、19年11月に経営統合に関する基本合意書、同年12月に経営統合契約書を締結した。続く20年8月には、業務提携に関する基本合意書を交わし、そこから両社が抱える事業に関しての具体的な協議を進めてきた。シナジーを生む領域、ユーザーの重複がある領域などの精査を続けながら、事業や組織の統合を模索してきた。今回、ついにその具体的な事業統合の第1号が公にされた。CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の統合だ。
ZHDにおける連結子会社で事業投資を手がけるYJキャピタル(東京・千代田)は、21年4月1日にLINE Ventures(東京・新宿)と合併し、Z Venture Capital(ZVC)としての事業を開始。YJキャピタルを継承会社とし、Z Venture Capitalに商号を変更した上で両社が保有していたCVCの投資機能を統合する形だ。
YJキャピタルは従来、ZHD傘下であるヤフーの子会社、つまりZHDから見れば孫会社だった。だが、今回のZHDとLINEが統合した新生ZHDでは、ZVCはこのZHDの直の子会社となり、ヤフーやZOZO、アスクル、一休、それにLINEと並列となった。これにより、グループ各社へのアクセスや連携が容易になり、グループのエコシステムを社内外に広げる役割を担うとみられる。さらに、ZHD内の事業・組織の融合への足がかりとなる可能性もある。
今回は、CVC合併の真意、狙いについて、ZVC社長の堀新一郎氏に直撃した。
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