2017年にブームが到来したAI(人工知能)チャットボット。コロナ禍で非接触技術として見直され、活用の幅が広がっている。そんな中、注目を集めるベンチャーが、ビースポーク(東京・渋谷)だ。国内外の空港や地方自治体で導入され、人の流れを誘導して密を回避する取り組みも始まった。DX(デジタルトランスフォーメーション)支援の切り札としても採用が相次ぐ。コロナ禍で見えたチャットボットの新たな可能性とは。同社創業者で代表の綱川明美氏に聞いた。

国内外の空港や駅、商業施設などで採用が進んでいるビースポークのチャットボットシステム。多言語対応でインバウンド向けに使われることが多かったが、コロナ禍による非対面化の流れを受け、行政や一般企業での採用も相次ぐ
国内外の空港や駅、商業施設などで採用が進んでいるビースポークのチャットボットシステム。多言語対応でインバウンド向けに使われることが多かったが、コロナ禍による非対面化の流れを受け、行政や一般企業での採用も相次ぐ

 様々な問い合わせに自動的に返信するチャットボット。カスタマーサポートでの自動応対や業務の効率化など、労働生産性の向上の観点で注目を集めている。チャットボットの元祖は1966年に誕生。それから50年以上がたち、第3次AI(人工知能)ブームと重なって、ここ数年で急速に進化し、ビジネスや生活に溶け込みつつある。

 そんな中、国内外で注目を集めるベンチャーがある。ビースポーク(東京・渋谷)だ。同社が展開する「Bebot(ビーボット)」は、国内におけるAIチャットボットの先駆者として2016年に誕生した。一問一答のシンプルなチャットボットではなく、前後の会話も認識する独自開発したAIを搭載。多言語に対応し、スマホと接続環境さえあれば、アプリのダウンロードは一切不要で誰でも簡単に使える。導入後も利用履歴などを基に改善を繰り返し、それぞれの現場に最適化することで、実用度を高めてきたのが強みだ。訪日外国人向けに成田国際空港や駅、中央省庁、有名ホテル、全国の自治体などで採用され、コロナ禍前には国内で1日に最大4万人が利用する規模にまで成長した。

 空港では、2次交通機関への案内の他、フライトやゲートへの誘導など、スムーズに人を誘導する役割を果たす。成田国際空港では、空港内のフリーWi-Fiにスマホなどで接続すると、チャットページが自動で表示されるように設定するなどインフォメーションカウンターとしての役割を担う。駅では経路案内、新幹線の乗り方などに加え、コインロッカーやATMなどの場所、すしが食べられる店といった店舗や施設の案内などにも使用。一方、ホテルや商業施設では、コンシェルジュサービスの他に、フロント係の業務負荷軽減ツールとしての利用も進んだ。

人の流れをチャットボットで変える

 コロナ禍で従来の多言語観光案内などのニーズは減ったものの、新たな活用方法も見えてきた。その一つが、密対策、混雑平準化の役割だ。

 Bebotには、利用者の質問に答えたり、緊急情報を迅速に提供したりするのに加え、会話ロジックを工夫することで、利用者に対して混雑していないスポットを勧め、混雑スポットの密回避を図る機能がある。例えば、ウィーン国際空港や米国のタンパ国際空港ではこの機能を応用。コロナ禍の影響で利用者が減少したスポットの安全性や魅力をアピールし、混雑地点からの移動を促す仕組みを導入した。

ビースポークのチャットボット技術は、成田国際空港や仙台空港といった国内空港に加え、新型コロナウイルス感染拡大対策としてウィーン国際空港でも採用された。写真中央はビースポーク創業者の綱川氏
ビースポークのチャットボット技術は、成田国際空港や仙台空港といった国内空港に加え、新型コロナウイルス感染拡大対策としてウィーン国際空港でも採用された。写真中央はビースポーク創業者の綱川氏