2023年度に「空飛ぶクルマ」の実用化・事業化を目指すベンチャー企業SkyDrive。18年に掲げたロードマップ通り、20年夏には有人機によるテストフライトを成功させた。また、事業化に向けては、大阪府と連携した取り組みも進めている。同社が描くモビリティーの未来、その前に立ちふさがる課題とは――。

2020年8月、初披露した試験機「SD-03」で、公開有人飛行試験を成功させた
2020年8月、初披露した試験機「SD-03」で、公開有人飛行試験を成功させた
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 空飛ぶクルマ「SkyDrive(スカイドライブ)」を開発しているSkyDrive(東京・新宿)代表取締役CEOの福澤知浩氏が目指すのは、スマホから空飛ぶクルマを予約し、乗って目的地まで移動し終えれば、自動で飛び去る──そんな世の中だ。

SkyDrive代表取締役CEOの福澤知浩氏。東京大学工学部卒業後、2010年にトヨタ自動車に入社し、グローバル調達に従事。同時に多くの現場でのトヨタ生産方式を用いた改善活動により原価改善賞を受賞。18 年にSkyDriveを設立し、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」の開発を推進。経済産業省と国土交通省が実施する「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員として、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて政府と新ルール作りにも取り組む。Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2021」のTOP20に選出、MIT Technology Reviewの「Innovators Under 35 Japan 2020」を受賞
SkyDrive代表取締役CEOの福澤知浩氏。東京大学工学部卒業後、2010年にトヨタ自動車に入社し、グローバル調達に従事。同時に多くの現場でのトヨタ生産方式を用いた改善活動により原価改善賞を受賞。18 年にSkyDriveを設立し、「空飛ぶクルマ」と「物流ドローン」の開発を推進。経済産業省と国土交通省が実施する「空の移動革命に向けた官民協議会」の構成員として、「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて政府と新ルール作りにも取り組む。Forbes JAPAN「日本の起業家ランキング2021」のTOP20に選出、MIT Technology Reviewの「Innovators Under 35 Japan 2020」を受賞
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 開発を進める機体は、モーター駆動する4カ所8つのローターが配置されたドローンのような形状。全長・全幅・全高は約4×4×2メートルと世界最小クラスで、コンビニなどのクルマの駐車場2台分があれば垂直離着陸が可能だ。現在の試作機は1人乗りだが、実用化の際は2人乗りとする。空中で直線的かつ自由な移動ができるため、渋滞知らずで、道路が整備されていない場所でも利用できる。「50年までに誰もが自由に空を飛べる時代を創る」(福澤氏)ことを目標に、実用化に向けて着々と準備を進めている。

 18年8月に経済産業省と国土交通省が合同で立ち上げた「空の移動革命に向けた官民協議会」にSkyDriveは構成員として参加。協議会でまとめられたロードマップでは、事業化スタートが「23年目標」と示され、翌19年には内閣府の成長戦略に盛り込まれた。既に18年12月に日本初となる無人屋外飛行試験に成功していた同社は実現に向けて、19年12月に有人飛行試験を開始、20年8月には屋外での公開有人飛行試験に成功と、計画通りの開発を進めている。

2018年12月に「空の移動革命に向けた官民協議会」で示されたロードマップ
2018年12月に「空の移動革命に向けた官民協議会」で示されたロードマップ
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