経営統合を完了したZホールディングスとLINEが今後、注力する分野の1つが「コマース」だ。物販のプラットフォームに限らず、旅行、フードデリバリー、そしてグループ会社が展開する商材特化型の専門ECなど、市場は多岐にわたる。さらにBtoC(消費者向け)にとどまらず、ECサイトの構築支援などBtoB(企業向け)領域のサービスを新たに開始する方針だ。

ヤフーは「PayPay」ブランドを冠したサービス展開を強化(写真/Shutterstock)
ヤフーは「PayPay」ブランドを冠したサービス展開を強化(写真/Shutterstock)

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 前編は、ZホールディングとLINE連合により変化する金融やローカル情報などの業界マップを紹介した。後編は「コマース」分野の勢力図を見ていこう。

 Zホールディングス、LINEはそれぞれコマース分野で注力してきた領域が異なる。そのため、実は両社の統合によって包括的なサービスの提供が可能になる。例えば、物販はZホールディングス傘下のヤフーが注力してきた市場でもある。近年はモバイル決済サービス「PayPay」ブランドを冠したサービスを複数展開し、決済と買い物を統合した戦略を推し進めている。一方、LINEはソーシャルコマースといったコミュニケーションサービスを展開する強みや、フードデリバリーといった即時性が求められるサービスに注力してきた。そこで、ZホールディングスとLINEが展開するコマース事業を、8つの市場で主な競合企業と併せて整理した。

「楽天市場」と「Amazon.co.jp」の2大勢力に押され、3番手に甘んじてきたヤフーは「PayPay」ブランドを軸として反転攻勢に出る
「楽天市場」と「Amazon.co.jp」の2大勢力に押され、3番手に甘んじてきたヤフーは「PayPay」ブランドを軸として反転攻勢に出る

 まず、「ECモール市場」から見ていこう。この領域は2大プラットフォーマーが大きなシェアを押さえている。2013年にヤフー会長だった孫正義氏が出店者の手数料を無料にする「eコマース革命」宣言を掲げたECモールの「Yahoo! ショッピング」に加え、19年10月には「PayPayモール」を展開する。競合となるのは、2大ECモールの「楽天市場」と「Amazon.co.jp」だ。長年3番手に甘んじてきたヤフーがどのように反転攻勢に出るか注目だ。

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