Great Place to Work Institute Japan(GPTWジャパン)が2021年2月16日、「2021年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング」を発表した。15回目となる21年版は、コロナ禍による影響を大きく受けた年になる。多くの企業でリモートワークが半強制的に導入されるなど、働き方は180度変わった。新型コロナは、働きがいにどのような影響を及ぼしたのか。GPTWジャパン代表の荒川陽子氏に話を聞いた。
21年版で15回を数え、毎年恒例となっているGPTWジャパンのランキング。まず個別の企業をダイジェストで見ていこう。「働きがいのある会社」調査は、「働く人へのアンケート」と「会社へのアンケート」の2つで構成され、これらのアンケート結果を評価した結果で、「働きがいのある会社」ランキング ベスト100が決定する。ランキングは大規模部門(1000人以上)、中規模部門(100~999人)、小規模部門(25~99人)の3つに分かれる。それぞれのベスト10の企業は以下の通りだ(左が21年版、右が20年版)。
大規模部門、中規模部門は、20年版のデータと比べても上位の顔ぶれは大きく変わらなかった。もともとランキング上位の常連になるような企業は、新型コロナウイルス感染拡大の前から、働き方改革や女性活用を推進するためにテレワークを含めた働き方の多様化を積極的に進めている例が多い。そこにコロナによる外出自粛の大波が来たことで、「それまで企業が行ってきた取り組みが正しかったことを証明する形になった」と荒川氏は説明する。
一方、コロナのあおりを受けたのが小規模部門。もともと少人数で、連帯感やチームワークの高さで働きがいを確保してきた企業が多く、コロナでリアルなコミュニケーションが失われてしまうと苦しい。連帯感を担保しきれなかったことで、スコアを落としてしまった企業が目に付くという。
これが21年版のランキングの特徴だが、個別企業の順位を追っているだけでは大局を見誤る。新型コロナのインパクトが大きく表れたのは、今回の調査全体に対してだ。2つの“地殻変動”を見ていこう。
「ここまでの変化は記憶にない」
1つめは「正」のインパクトだ。企業で働く人への設問は全部で60問あるが、全設問平均のスコアが大きく上昇していた。下のグラフは、20年版と21年版の両調査に回答した企業のうち、データがそろっている205社を分析したものだ。改善傾向にあったのが61.5%と、低下傾向の22.9%を大きく上回った。「私の知る限り、ここまでの変化は記憶にない」と荒川氏も驚いたという。
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