2020年の新築マンション市況は、テレワークの浸透で住空間への関心が高まる一方、モデルルームの内覧を休止するなど商環境が大きく変化した。そんな中、不動産販売の課題をテクノロジーで解決するスタイルポート(東京・渋谷)が、受注数を大幅に伸ばしている。同社のVR(仮想現実)接客ツール「ROOV compass(ルーブ コンパス)」は、なぜ不動産デベロッパーに注目されるのか。躍進の秘密を探った。

スタイルポートが展開するVR内覧ツール「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」のデモ画面
スタイルポートが展開するVR内覧ツール「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」のデモ画面

コロナ禍でモデルルームの集約化が加速

 新築マンション購入の入り口となるのが、不動産デベロッパーなどが運営するモデルルームだ。実際の室内空間を再現することで、竣工前でも間取りや部屋の広さ、生活動線などを確認でき、そこで得られるリアルな体験が購入を決断させる切り札にもなっている。

 ところが、集客装置ともなっていたモデルルームの運営が、コロナ禍を機に困難になってきている。加えて、最近では間取りを確認できるVRを導入する事業者が増えてきたものの、3次元でリアルな空間を体感したいというユーザーの欲求を満たせるサービスは少なかった。

 こうした課題を解決するのが、スタイルポートが提供するオンラインマンションギャラリー「ROOV(ルーブ)」だ。VR技術を活用して3Dで再現した部屋をいつでもどこでもチェックできるサービスで、オフラインとオンラインの営業活動をシームレスにつなぐことを目指して開発された。

 2019年の本格スタートから累計で62社、200件のプロジェクトで導入。コロナ禍で20年の全国の新築マンション発売戸数は前年比15.2%減(不動産経済研究所調べ)となっているが、同社の受注数は前年比3~3.5倍と急加速している。

 その要因について、同社の間所暁彦社長はこう話す。「コロナ禍をきっかけに、不動産デベロッパーが販売活動を根本的に見直す動きが急加速している。モデルルーム自体をなくしたり、1カ所に集約したりする販売会社が増えてきている。そうした動きに対応し、VRを基軸にして機能性を高めたことで売り上げを伸ばせた」。

 スタイルポートが展開するROOV事業は、18年12月に営業活動を開始。翌年4月、不動産のポータルサイト「SUUMO(スーモ)」の新築マンションサイトで正式メニューとして採用されたのを機に本格的に稼働した。当初は、VRを活用した営業用コンテンツのプロバイダーとしてスタートしたが、徐々にサービスの領域を拡大。DX(デジタルトランスフォーメーション)によって新築マンションの販売活動全体にメスを入れ、新たな顧客体験を生み出すことで業界の常識を変えようと取り組んでいる。

スマホでマンション内覧の疑似体験

 21年2月11日、不動産デベロッパーの日鉄興和不動産が、横浜市内に体感型VRモデルルーム「リビオレゾン横濱ギャラリー」をオープンした。室内の壁面には大画面のVRが投影され、床面には実物大の間取りがプロジェクションマッピングで映し出される。実際に部屋に入ってみると、あたかも実物の部屋をぐるぐると見て回っているような感覚を体験できるという。

体感型VRモデルルームでは、希望する部屋のイメージをスタイルポートのVR内覧ツール「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」による大画面VRで壁に投影できる。それに他社のプロジェクションマッピングを組み合わせた
体感型VRモデルルームでは、希望する部屋のイメージをスタイルポートのVR内覧ツール「ROOV walk(ルーブ ウォーク)」による大画面VRで壁に投影できる。それに他社のプロジェクションマッピングを組み合わせた
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