NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」と、携帯大手3社の新プランが出そろった。これらはオンライン専用でコストパフォーマンスの高い料金プラン。2021年3月より、順次投入予定だ。政府からの値下げ要請に応える狙いが大きいが、一方で実店舗販売への依存度が高く、販売のオンライン化が進んでいなかった携帯電話業界のビジネスを大きく変える可能性も秘めている。
2020年末にNTTドコモが、契約やサポートをオンラインに限定する代わりに、複雑な割引がなく、月額2980円で20GBの高速データ通信が利用できるという新料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表して大きな話題となった(21年3月1日には月額料金を2700円に下げると発表)。それ以降携帯大手が、オンライン専用でコストパフォーマンスが高い新料金プランを投入する動きが相次いでいる(関連記事「NTTドコモ『ahamo』の裏の巧妙な戦略 既存料金の見直し発表」)。
KDDIは21年1月13日に、auブランドのオンライン専用料金プラン「povo(ポヴォ)」を発表。ahamoでは標準サービスである1回当たり5分間の無料通話をオプションにすることで、月額料金をahamoより安い2480円に引き下げた。加えて、スマートフォン上から必要に応じてオプションを手軽に付け外しできる“トッピング”という仕組みに力を入れることで、差異化を図っている(関連記事「KDDI、新ブランド『povo』で大手最安に トッピングで使い放題も」)。
またソフトバンクも21年2月18日に、povoと同様、月額2480円で利用できるオンライン専用ブランド「LINEMO(ラインモ)」の詳細を発表。LINEのトークや通話などを利用する際の通信量がカウントされないほか、21年夏以降は追加料金不要で700万種類以上のLINEクリエイターズスタンプが使い放題になるなど、LINEとの連携を強化することで他社との違いを打ち出した(関連記事「ソフトバンクの新通信ブランド『LINEMO』は月額2480円」)。
これらのオンライン専用プランが登場した背景には、菅政権が目玉政策として掲げた携帯電話料金引き下げが大きく影響している。携帯電話料金の大幅な引き下げを実現するため、スマホに詳しく店頭サポートの重要性が低い若い世代にターゲットを絞り、高額な運営コストがかかる実店舗での販売やサポートをあえてカットすることで、料金を大幅に引き下げているわけだ。
だがどのような経緯があるにせよ、携帯大手が自らオンライン専用のプランを提供するに至った意味は大きい。もしオンライン専用プランが大きな成功を収めれば、これまで実店舗が主体だった携帯電話の販売のあり方が、オンライン主体へと大きく変わることにもつながってくるからだ。
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