2021年3月末、カルビー「じゃがりこ」のコミュニティーサイト「あつまれ!とびだせ!じゃがり校」が、14年の歴史に幕を閉じる。SNSが普及していない時代からファンとつながり、「ファンマーケティング」の手本ともいえる取り組みを実施してきた。改めてその歴史を振り返るとともに、終了の理由や次の一手を聞いた。
2007年、まだ日本にiPhoneが上陸しておらず、スマートフォンもSNSも一般化していなかった時代。カルビーのスナック菓子「じゃがりこ」のブランド担当者が、「もっと顧客と直接対話をしながらブランドをつくっていく方法はないか」と模索し、前代未聞のウェブサイトを立ち上げた。じゃがりこのファンを集めたコミュニケーションサイト「あつまれ!とびだせ!じゃがり校」(以下、じゃがり校)だ。“校”という名前が付く通り、学校形式のルールをベースにした、奇想天外な設定や運営が特徴となっている。
この学校には、誰もが“入学”できるわけでなく、サイト上で毎年12月~翌2月に実施される「入試」に合格しなければ入れない。入試ではイエス・ノーで答えられる簡単な設問の他、じゃがりこがどれほど好きかを100~200字で書く小論文的なテストもあり、じゃがりこ愛がある真のファンだけが集まる場になるように設計されている。毎年2000~3000人ものファンが受験(合格者数は非公表)し、無事合格すると4月から晴れて生徒になれる。在籍期間は、リアルな中学校や高校と同じ3年間だ。
社員が先生に 生徒同士の交流を促す仕組みも
学校のカリキュラムとしては、サイト上でほぼ毎日、ブログ形式で商品情報やじゃがりこ担当社員の仕事の様子を伝える「朝礼」を発信。さらに、社員による授業も行われる。学期末には、通信簿が配信され、1年間休まずにログイン(出席)すると皆勤賞のメダルが授与されるなど、継続して“通いたくなる”仕掛けが随所に用意されていた。
生徒同士の交流も非常に活発だ。
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