大規模出店が相次ぎ、売り上げ規模で30兆円を超えるショッピングセンター(SC)市場が転機を迎えている。そんな中、GMSや大型専門店などの核テナントやファッション・アパレルに依存する旧来の構造を転換し、地域の交流の場として人気を集める施設もある。withコロナ、アフターコロナ時代の商業施設とは何か、商い創造研究所代表の松本大地氏に聞いた。

郊外型の大型SCの出店競争はもはや限界に。今後は、地元密着・地元貢献型の商業施設が求められる
郊外型の大型SCの出店競争はもはや限界に。今後は、地元密着・地元貢献型の商業施設が求められる

 全国のショッピングセンター(SC)の総数が、2019年に続き、20年も減少したと、日本ショッピングセンター協会が公表した(速報値ベース)。20年の開業数が40だったのに対し、閉鎖数は42に上り、施設数は3207となった。消費の中心となっていたSCは、大きな岐路に立たされている。

 20年は当然、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛の影響が大きいと思われるが、「実は、コロナ禍になる前から、従来の商業施設のやり方が通用しなくなってきていた」と、商業施設のプランニングや地域活性化を手掛ける商い創造研究所代表の松本大地氏は指摘する。冒頭のように、19年もSCの総数が減少に転じていたことが、それを示す。

 「従来型のSCは、大規模な施設を郊外に建て、全国チェーンの人気店を誘致し、広域から人を集めることが定石」(松本氏)で、SCは均質化が加速していた。近年では大型SCが乱立し、競争の激化も著しい。さらに、「従来のSC収益の主軸であった有名アパレルブランドが、ECやD2Cブランドなどの台頭によって求心力を失いつつある」(松本氏)ことも、苦戦の要因といえる。そんな中での、このコロナ禍。テレワークの拡大や、EC化のさらなる加速で、メインの価値である「買い場」としての魅力が急激に失われている。そこで松本氏は、「『いかにアパレル小売りに変わる核を構築するか』『ECに抵抗がないデジタルネーティブ世代をいかにリアル店舗に呼び込むか』という、コロナ禍以前からの課題をクリアすることが、SC復活のカギ」と指摘する。

“SC課題先進国”である米国で起きた新たな波とは

 では、課題をクリアするためには、どうすべきか。松本氏はキーワードとして、「コンフォート(=居心地の良さ)」を挙げる。「有名店舗を集約して買い物の利便性を高めたり、品ぞろえをアピールしたりする従来型SCの発想ではなく、心地良い環境デザインのパブリックスペースや個性豊かな飲食店を備えることで、集いたくなる場所になり、人々が時間を消費するために訪れるようになる」(松本氏)。

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