新型コロナウイルスの感染拡大で消費者行動がどう変容しているかを世界各国・地域で調査している米調査会社のニールセンが、このほど2020年10月分の結果をまとめた。20年5月以来の調査となる。コロナ禍で、消費者の買い物やライフスタイルはどう変わったのか。日本の現状を中心に、海外と比較しながらその結果を見ていく。

コロナ禍で消費者はどう行動変容したのか(写真/Shutterstock)
コロナ禍で消費者はどう行動変容したのか(写真/Shutterstock)

 まず2020年10月初旬時点で、新型コロナウイルス感染拡大の“直撃”を受けた消費者、つまり生活になんらかの支障が生じたと答えた消費者は日本では10%だった。本調査では、新型コロナウイルスで特に強い影響を受けた消費者を「コロナ暴風域内消費者」、影響は少ないもののなんらかの影響があったその他消費者を「コロナ強風域内消費者」と2分して分析を試みている。コロナ暴風域内消費者とは具体的に、新型コロナウイルス感染拡大によって健康に影響を受けたか、失業したか、もしくはどちらも経験した消費者と定義した。

「コロナ暴風域内消費者」と「コロナ強風域内消費者」の比率は日本と海外で大きく異なる
「コロナ暴風域内消費者」と「コロナ強風域内消費者」の比率は日本と海外で大きく異なる

 以前の調査では、日本は諸外国に比べ新型コロナウイルスに起因する消費者行動や意識の変化は緩やかだった。すなわち暴風域に巻き込まれた消費者が少なく、海外に比べて影響によって変化が生じるのが遅かったと言える。10月時点でも調査対象の32カ国・地域でコロナ暴風域内消費者の割合が平均35%だったのに比べると、日本は圧倒的に暴風域の消費者が少ないことが分かる。影響の少ない強風域内消費者は90%で他の国・地域は65%。健康や失業といった影響は少なかったと言える。

「コロナ暴風域内消費者」 の方が自宅派多い

 コロナ禍でライフスタイルがどう影響を受けたかについては、自宅勤務や自宅での調理、掃除、自宅での理美容活動、さらに、子供の自宅学習が増えた事実が浮かび上がった。これは、自宅近辺の生活時間が増え、DIY関連の活動にシフトしたためだと言える。コロナ暴風域内消費者の方が、コロナ強風域内消費者に比べてシフトした比率は高かった。

自宅勤務や自宅での掃除・料理をする割合はコロナ暴風域内消費者の方が多い
自宅勤務や自宅での掃除・料理をする割合はコロナ暴風域内消費者の方が多い

 オンラインでの娯楽やショッピングに関しては、暴風域内消費者と強風域内消費者でそれほど大きな差がなかった。いずれも新型コロナウイルスの影響度にかかわらず利用せざるを得ない選択肢だったためで、どちらも一様に利用が促進されたと考えられる。

 不要不急の外出を余儀なくされた反動で“爆買い”に走るリベンジ消費が世界中で起こったが、日本でも、「キャンピングカーが昨年より売れた」「スーパーで高価格帯のすしが以前に比べて売れた」といった現象が起こっている。

 米国についての分析になるが、パーティー用のグッズやワイン・スピリッツ、変わったところではペット用のおもちゃなどの売り上げが急増。自宅にいながら、いつもよりぜいたくで違った経験をするための消費が増えていることが観察できる。この傾向は日本でも同様のようだ。

米国における「リベンジ消費」の傾向
米国における「リベンジ消費」の傾向

 もう一つ顕著に浮かび上がったのが、節約意識の強まりだ。事象としては、プライベートブランド(PB)の商品を購入する消費者の増加傾向が挙げられる。多くの国・地域で食品や日用品のPB商品の売り上げがナショナルブランド(NB)に比べて上昇していることは、別のニールセンの調査から浮かび上がっている。

 実際今回の調査では、日本において節約の観点からPBの購入を増やしたと回答した人は12%に及んだ。減らした人は5%であり、2倍以上いることが分かった。特にコロナ暴風域内消費者については、27%が購入を増やしたと回答。コロナ強風域内消費者の11%より割合が多かった。今後コロナ暴風域内消費者が増える可能性が日本でも高く、PBへのシフトはさらに進むと考えられる。

 もう一つ興味深い事実は、コロナ禍で食品・日用品の価格が上昇傾向にあったために、21%が「(スーパーなどの)特売が減った」「以前に比べて価格があがった」と答えたことだ。さらに普段使わなかった店舗を訪問するなどして特売を探す工夫をしている消費者も全体の21%を占めたことだ。内訳としては、コロナ暴風域内消費者は62%が普段使わない店舗を利用し、コロナ強風域内消費者の18%に比べて顕著に多かった。1週間に平均5.6店舗も訪店しており、新型コロナ感染拡大前の19年12月の3.7店舗から大きく伸びているのも興味深い。

1週間当たりに回遊する店舗数は増加傾向にある
1週間当たりに回遊する店舗数は増加傾向にある

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する