医療衛生用品などを製造販売するピップ(大阪市)が2020年10月に発売した磁気治療器「ピップ ジースピナー」の販売が好調だ。クラウドファンディングサービス「Makuake」で先行販売したが目標金額を大きく超える売り上げだった。
Makuakeでの先行販売価格が3万9800円と高額な商品で、ガジェット好きな30~40代男性をターゲットとする。21年1月31日まで体験型店舗「b8ta(ベータ)」有楽町店でも展示しており、新規需要の開拓を狙っている。円形の製品を肩などに張り付けて利用するタイプで、160ミリテスラの磁石が1分間に6500回転して変動磁場を発生させ、コリをケアする。筋肉細胞に直接作用し、広く深く磁気が浸透するという。従来の磁気治療器「ピップエレキバン」は“じんわり効く”のが特徴のため4~5時間かかったものが、ピップ ジースピナーでは約15分でケアができるという。
「コリを短時間でほぐしたいというニーズは、コリケア市場にずっと存在してきた」と語るのは、ピップ商品開発事業本部 ブランド戦略本部で血行改善ブランドを担当する木下絵美氏。コリを感じるシーンは「仕事中」という声が多く、タイムリーにケアできないという問題もあったという。そこで、短時間でケアできる新商品を発売することにした。
ピップは03年から08年まで、変動磁場を発生させることでコリ治療を行う「ピップイーバン」を発売していた。ピップエレキバンとの差別化ができずに廃番となったが、「再販してほしい」という声も寄せられていた。ピップ ジースピナーはいわばその改良版だ。
苦心したのは静音性だ。高速に回転する磁石の音を仕事中でもケアできるレベルまで抑えた。皮膚に貼るタイプなので、つけていて落ちないように工夫する必要もあった。ゲル状シールや、全面シールなどあらゆる形状を検討した結果、専用の十字形の使い捨てばんそうこうを採用。安定性を高めた。
「首から下の全身に使えるようにするため、傾きが変わっても回転数が落ちないように改良を重ねました。短時間で効果が実感できることにこだわり、開発に7年ほどかかりました」(ピップ商品開発事業本部 ブランド戦略本部 血行改善ブランド ブランドマネジャーの藤木慎二氏)。
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