「焼肉きんぐ」など複数の業態を展開し、店舗運営のDX化を推進する物語コーポレーション。コロナ禍で飲食業界が打撃を受ける中、2020年6月には売上高が前年比プラスになるなど復調著しい。アプリや会員メールを駆使し、紙のチラシに頼っていた販促策からの脱却を目指す同社のDX戦略に迫る。
2020年4月、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、政府が緊急事態宣言を発出。主要都府県で休業要請が行われる中、「焼肉きんぐ」「寿司・しゃぶしゃぶ ゆず庵(以下、ゆず庵)」「丸源ラーメン」「お好み焼本舗」などを展開する物語コーポレーションは、同4月7日から5月10日まで、直営店舗の一時休業に踏み切った。
4月の売上高は全業態合計で前年比29.6%と大きく沈んだ。だが、営業再開後は売り上げが急速に回復し、6月には前年比102.3%と早くもプラスに転じた。「再開後も影響は大きく残ると思っていたが、想定以上に顧客や売り上げの戻りが早かった」と、物語コーポレーション開発企画・デジタルマーケティング部 部長の古堅博文氏は話す。その後、7月は同109.1%、8月は新型コロナウイルス感染症拡大の第2波の影響もあり同97.8%と微減となったが、9月は再び同104.5%と好調に推移する。
こうした急回復を遂げている同社が近年力を入れ、特に20年4月から本格的に取り組んでいるのが販促のDX(デジタルトランスフォーメーション)化だ。従来、販促施策といえば、新聞の折り込みチラシを店舗周辺に配布したり、来店客に再来店を促すために紙のクーポンを渡したりするのが飲食店の定石。同社もこのアナログな手法による集客を得意としていた。しかし、「新聞を取る世帯が減りつつあり、折り込みといった紙のチラシに頼る販促だけでは先細りが明らか。そこで、軸足をデジタル施策にシフトする戦略を進めてきた」(古堅氏)。
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