リコーは2020年11月2日、イノベーション創出に向けた働き方を研究する施設「3L(サンエル)」を東京都大田区に開設した。リコーの社員だけでなく、外部のビジネスパーソンやクリエイターにも活用してもらい、さまざまな意見を交換できるようにする。内部での人の動きや働き方をデータ化して分析。働き方を支援するための商品やサービスの開発に生かす。
イノベーション創出を狙った似たような施設に、各社から登場している共創センターがあるが、「3L(サンエル)」はそれだけでなく、内部での働き方をデータ化して分析できるようにした点が大きな特徴だ。
天井にはセンサーやカメラを配置し、施設内ではセンサーに反応するデバイスを身に着ける。誰がどこにいるのか、誰と話しているのか、ディスカッションのときは誰がどれだけ発言しているのか、などの各人の行動を細かくつかめるようにした。創造性が生まれるとき、人はどんな行動をしていたのか、人と人はどんなつながり方をしていたのかなどをデータに取り、どんな働き方が有効なのかを探る。そうしたデータから今後、働き方を支援するための商品やサービスの開発などに生かす。
施設内には、チームの創造性を引き出すことを狙った独自の会議空間「RICOH PRISM(リコー プリズム)」をつくったほか、大規模なイベントスペースなどもある。ソーシャル経済メディアとして知られる「NewsPicks」の協力による共創プログラムも用意。共創を支援するスタッフもいる。使用には予約が必要だが、新規事業を目指すビジネスパーソンなら自由に使え、いろいろな人と出会えるチャンスがありそうだ。
リコーは2017年に「はたらく人の創造力を支え、ワークプレイスを変える“EMPOWERING DIGITAL WORKPLACES”」を提供価値として定め、創造力の向上を支援するサービス提供を推進してきたという。3Lを活用して次世代の“はたらく”を自ら実践して、“はたらく歓び”について研究。EMPOWERING DIGITAL WORKPLACESの先にある新たな価値の創造に取り組む。
「3Lで、“はたらく歓び”に対応するだけの新しい価値を創り、データ化して検証を行うことで、“はたらく”と“人”の関係性を追求していく。3Lの活動に興味を持ち、何かを得たいと考える人を喜んで受け入れたい」(リコー経営企画センターの稲田旬氏)
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