AI(人工知能)を活用したコーセーの「毛髪診断システム」が注目されている。コンセプトストア「メゾンコーセー」(東京・中央)で2020年7月から運用しており、これまで約400人が診断を受けた。SNSなどで話題になり、予約を開始すると毎月120人ほどの定員枠が30~40分で埋まるという。

 コーセーの「毛髪診断システム」はシステムによる診断結果(客観評価)と、顧客が自覚する悩みや理想のヘアスタイルのカウンセリング(主観評価)を掛け合わせ、顧客一人ひとりに合わせたヘアケア商品を提案していくことが狙い。ヘアケア商品の売り上げにも貢献しているという。利用者は30~40代の女性が中心だが、男性客も増えてきた。

AI診断×カウンセリング
AI診断×カウンセリング
AIによる「毛髪診断システム」では、顧客の後ろ髪の写真を撮影し髪のツヤやうねり、ダメージやボリュームを客観的に評価。髪に関するアンケートに答えてもらいながら、顧客の髪に対する悩みや理想をヒアリングする。システムの使用料はブローバーの価格に含まれており、1100円(税込み、以下同)
髪診断結果
髪診断結果
AIが顧客の髪の「ツヤ」「うねり」「ダメージ」「ボリューム」を5段階で判断したイメージ画像。同結果とヒアリングの結果を合わせながら、その人に最適な商品をリコメンドする。「髪年齢」も表示できる

 同システムはコニカミノルタの協力で開発し、画像処理技術に基づいて顧客の髪質や毛髪状態を瞬時に診断する。具体的には顧客の後ろ髪の写真を撮影し、髪のツヤやうねり、ダメージやボリュームを5段階で評価。コーセーの研究員が約400人の後ろ髪の「見え方」を調査し、その評価を独自の解析アルゴリズムに落とし込んだ。顧客の髪が何歳くらいに見えるかという「髪年齢」を表示できることもポイントだ。

 コーセーのスキンケア製品研究室・スキンケア製品グループの長谷川妙氏は、「毛髪診断システムを使うことで、普通ならば言いにくいこともAIが指摘してくれるようになった」と話す。例えば、普通の美容室では、顧客に対して「あなたの髪にはツヤがない」「髪が老けて見える」とは言い出しにくい。顧客自身が問題点を自覚していなかったり、触れられたくないと感じていたりする場合、気分を害してしまう可能性もある。しかし、髪の問題は日々の手入れで解決できる場合も多いため、指摘すれば効果的な対策を打てる可能性が高い。

 毛髪診断システムで客観的な評価を行えば、顧客は髪の問題点を自覚できるし、どう改善するかを一緒に考えることができる。顧客一人ひとりに合わせた施術を効率的に行うことが可能になる。

 「シャンプーなどのヘアケア製品では、特定のブランドの商品を買い続けてくれている人が少ないと感じていた。ドラッグストアでたまたま目についた商品や、新発売の商品をお試しで購入している人も多いのではないか。自分の髪に最適な商品が分からない、見つかっていないということだろう」。同グループ主任研究員の一色隆氏は、毛髪診断システムを開発した理由の1つをこう話す。