ラクスルとADKマーケティング・ソリューションズ(東京・港)は2020年12月1日、成果に応じて両社が受け取る報酬が増減するテレビCM活用支援サービス「運用型成果連動CM」の提供を始める。成果が出なければ両社が費用を負担する意欲的な取り組みだ。顧客企業と定めたCPA(顧客獲得単価)を基準に、テレビCMとデジタル広告を組み合わせた広告運用を請け負う。
新たに始める運用型成果連動CMは、ラクスルとADKが広告主から広告費を預かり、テレビCMとデジタル広告を組み合わせた運用を請け負うサービス。初めてテレビCMを出稿する商品やサービスが対象となる。成果連動という名の通り、広告運用の成果に応じて両者が受け取る手数料が変化する。その成果はCPAで測る。
まず、テレビCMの出稿に先駆けてデジタル広告を使い、広告主の平均的なCPAを測定。その数値を基に、広告主と共に基準となる数値を定める。そして実際の広告配信後に基準値を下回るほど高い成果につながったとして、ラクスルとADKが得る手数料収益も増加する。一方で、CPAが基準値を上回った場合には、成果が出なかったとして、逆に費用をラクスルとADKが負担する。「業界的にも初の試みだ」と、ラクスル取締役CMO(最高マーケティング責任者)の田部正樹ノバセル事業本部長は言う。
「低リスクでテレビCMを放送できるサービスを提供することで、これまでテレビCMを出稿したことがなかった企業を顧客として獲得していく」と田部氏は意気込む。番組1本単位でテレビCM枠を買い付けられるスマート・アド・セールス(SAS)の登場などで、テレビCM出稿のハードルが下がっているとはいえ、それでも一定の成果を上げるにはまとまった広告予算が必要。効果が予測できないことを理由にテレビCMの出稿に及び腰だった企業にとって、新サービスは渡りに船だろう。だが、ラクスルとADKにとっては非常にリスクが高い。
「運用」という概念をテレビCMに持ち込む
そこで、ポイントになるのが「運用」だ。運用とは広告効果を高めるために、効果検証しながら広告クリエイティブを差し替えたり、テレビCMを放送する番組やデジタル広告の掲載媒体にかける費用の比率を変えたりする手法のこと。ネット広告では運用型広告代理店という専門業者が存在するほど一般的だが、テレビCMの世界では存在しなかった。
なぜなら従来テレビCMは短期間で効果検証して最適化のPDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを回すという発想がなかったからだ。だが、オンライン入稿やSASの登場によって、徐々にデジタルマーケティングと同様に運用できる仕組みが整ってきた。ラクスルは自社の成長ドライバーとしてテレビCMを活用する上で、データに基づいてクリエイティブや出稿する番組を最適化することで広告費を効率的に活用してきた。
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