博報堂は三井物産と連携し、東京・渋谷エリアを対象とした生活者共創型のまちづくりアプリサービス「shibuya good pass」の実証実験を2020年11月13日より一部開始した。21年春にベータ版を公開し、21年中に本格サービスを展開する計画。月額乗り放題のオンデマンド相乗りサービスなど、新たな試みの全体像をリポートする。

アプリ「shibuya good pass」は2021年春にベータ版を提供予定
アプリ「shibuya good pass」は2021年春にベータ版を提供予定

 「shibuya good pass」は、2019年に発足した博報堂の新規事業開発組織、ミライの事業室が開発。同組織は「生活者ドリブン・スマートシティ」をコンセプトに掲げる。ともすれば自動運転やドローン、AI(人工知能)、IoTといったテクノロジー先行になりがちなスマートシティ計画に対して、手触り感のある生活者中心のまちづくりを目指すもの。その具体的な形の1つが、shibuya good passというわけだ。

 21年春にベータ版アプリが公開されるshibuya good passは、渋谷区の在住者を中心に渋谷エリアで働く層も対象。月額基本料を支払うと連携する都市サービスを利用でき、それが渋谷のまちづくりへの貢献につながるのが特徴だ。

 当初用意されるサービスは、約10ジャンル。例えば、WILLER(ウィラー、大阪市)による小型車やマイクロバスを使った月額乗り放題のオンデマンド相乗りサービス「good ride」、シニアの移動をサポートするスズキの新型モビリティを活用した「good cart」、PLANTIO(プランティオ、東京・渋谷)が手がける都市農園の会員サービスと連携した「good farm」がある。その他、再生可能エネルギーを提供する「good energy」、月額オフィス会員サービス「good office」、教育、スポーツ分野など、異なる業界のプレーヤーによる都市サービスが1つのアプリに集まる。

 生活者参加型の象徴的な取り組みとしては、「good opinion」が挙げられる。これは生活者がアイデアや意見を書き込み、それを渋谷のまちづくりや政策に反映させることを狙ったプラットフォーム。スマートシティ先進都市として知られるスペイン・バルセロナで活用されているオープンソースのデジタルツール「Decidim(デシディム)」を使う。Decidimは、市民参加の下、自動車中心だった道路空間を歩行者や自転車などに開放していくバルセロナの「スーパーブロック」プロジェクトでも成果を上げている。日本では、兵庫県加古川市が20年10月に初めて導入を決めた。

good passアプリの画面イメージ。サービス利用でgoodスコアがたまる
good passアプリの画面イメージ。サービス利用でgoodスコアがたまる

 これらgood passで提供されるサービス群は、健康やコミュニティー、サステナビリティー(持続可能性)といったくくりで集められ、それぞれが渋谷エリアが抱える課題に対応したもの。good passアプリのユーザーは、これらのサービスを利用するたびに「goodスコア」が加算される。自らのアクションが都市に好影響を与えていることを実感できる仕組みだ。

 博報堂と三井物産は、こうしたアイデアをまず渋谷で実装し、その後は国内の複数の都市に展開する計画。「21年中の本格サービス開始時には、モビリティ×オフィスなど、good pass上の月額サービスをまとめた割安なプランも作っていきたい」と、博報堂ミライの事業室、吉澤到室長は話す。

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