ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングス(HD)が、冷凍食品に本腰を入れる。冷食ブランド「ロイヤルデリ」に2020年10月、欧米やアジアの料理を加えてメニューを大幅に拡充した。温めるだけで、世界の本格グルメが味わえるという新たな食体験で攻勢に出る。
目指すは「レストランクオリティーの家庭用フローズンミール」。冷凍食品の世界に、ロイヤルHDが専門店の味を持ち込んだ。「ロイヤルデリ」である。19年12月から展開を始め、全国のロイヤルホストやオンラインショップで販売中。新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛を受け、20年4~6月の売上高は20年1~3月と比べて5.8倍に急伸した。
画期的だったのは「シェフが手鍋でつくる味」を家庭で再現したことにある。福岡市と千葉県船橋市にあるセントラルキッチンを活用し、シェフのつくりたてを急速冷凍。湯煎などで解凍し、皿に盛りつけるだけで、誰でもレストラン品質の料理を自宅で味わえるようにした。
欧米アジアの各国料理を加えてリブランディング
「美食の国 イタリアのショートパスタ」「クラシック洋食」「オリジナルカレー」「パスタソース」「パン&スイーツ」という従来のカテゴリーに、20年10月15日から「ヨーロッパの料理」「アメリカの料理」「旅気分で巡るアジア料理」を追加。8カテゴリー45種類へとラインアップを大きく増強した。
新メニューの顔ぶれは多彩だ。米ルイジアナ州伝統のスープ料理「チキンとソーセージのガンボ」(税込み460円)や、濃厚なラザニアソースとショートパスタを組み合わせた「ラザニエッテ」(同640円)、台湾のローカルフード「魯肉飯(ルーローハン)」(同650円)、インドネシアやマレーシアの焼き飯料理「ナシゴレン」風のソース(同480円)など、ロイヤルホストでも見かけない料理が並ぶ。
ガンボはケイジャンスパイスで味付けし、ラザニエッテはショートパスタを長時間低温熟成し、もっちりとした食感に仕上げた。魯肉飯も、スーパーではあまり見かけない皮付きの豚バラ肉を使うことで、豚本来の甘みと皮付きならではの独特の食感を引き出した。冷凍食品とはいえ、1品1品にシェフの技が詰まっているのが特徴だ。
コロナ禍で内食ニーズに変化
ロイヤルHDはなぜ、このタイミングで商品を増やしたのか。ロイヤルデリ事業担当部長の庵原リサ氏は、利用者の声がきっかけだったと振り返る。
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