次世代通信「5G」のスタートにより、新サービスの開発が加速している。そんな中、NTTドコモ主催のピッチイベントで、最優秀賞に選ばれたのが AMATELUS(東京・渋谷)の「SwipeVideo」。スポーツ・音楽などの映像やライブを好きな視点で、それも視聴者が自由に切り替えて見られる配信技術は革新的だ。
「高速大容量」「超低遅延」「同時多接続」をうたう5G(第5世代移動通信システム)。その5Gの特徴を生かした新サービスを、大手企業からベンチャーまで、さまざまな企業が開発を行っている。そんな中、スポーツ中継やイベント配信に革新を起こすと注目されているのが、AMATELUS(アマテラス)の動画配信プラットフォーム「SwipeVideo」(以下、スワイプビデオ)だ。
同サービスは、2020年9月15日にNTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズが開催したピッチイベント「docomo 5G DX AWARDS 2020」で最優秀賞を受賞。コロナ禍を受けて、スポーツやエンターテインメント、教育など、さまざまな分野でライブや映像の配信技術に注目が集まる中、スワイプビデオへの期待は高い。
評価された理由は、高品質の自由視点映像の配信を簡単に行えることだ。
自由視点映像とは、複数のカメラを設置し、それを切り替えることでさまざまな角度から被写体を見ることができる映像のこと。例えば、キヤノンは19年のラグビーW杯で多数のカメラで撮影したマルチアングル映像を公開。また、米インテルが持つ「True View」という技術は、多数のカメラでスタジアムをぐるりと囲み、360度、あらゆるアングルからスポーツなどを楽しめる。
ただ、「従来の自由視点映像は視聴者が任意に映像を切り替えることができず、送られた映像を見るのが基本だった」と、アマテラスCEO(最高経営責任者)の下城伸也氏は課題を語る。このような背景も一つの要因として、下城氏はスワイプビデオの開発をスタートした。
これまで自由に視点を切り替える映像配信が困難だったのは、数十台から数百台のカメラをはじめとする撮影機材のコストが高額なことに加え、各視点からの膨大な映像データの処理や配信の負荷が高いことがネックになっていた。従来の仕組みでは、複数台のカメラで撮影した映像をまとめて一つの動画として配信するため、カメラが増えればそのぶん映像処理の負荷や通信容量の限界により、1視点当たりの画質を下げざるを得なかった。4G環境では高精細な多視点映像を配信することが難しく、大容量な5G通信に期待が集まっている理由でもある。
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