楽天がフォントに着目して、ブランド力の強化に乗り出している。2018年に楽天のロゴを一新しており、20年7月、新たに4種類のオリジナルフォントを発表した。現在、楽天グループのサービスは70以上に及ぶ。サービスによって最適なトーン&マナーが異なり、従来のフォントでは対応しきれなくなっていた。
サービスの多様化に対応
2020年7月に楽天が発表したオリジナルフォントは、楽天のウェブサイトやアプリ、営業資料などで使用するための欧文書体。03年から同社のチーフクリエイティブディレクターを務める佐藤可士和氏の監修の下、英ロンドンにあるフォントデザインスタジオのDalton Maag社がデザインした。楽天のロゴを基にデザインしたベーシックな「Rakuten Sans」、上品な印象の「Rakuten Serif」、楽しさやかわいらしさを表現する「Rakuten Rounded」、力強いイメージの「Rakuten Condensed」がある。文字の太さ(ウエート)は各5種類を用意した。英語やスペイン語、フランス語など、16言語に対応している。
開発した理由は、楽天グループの事業やサービスが多様化しているからだ。現在、楽天グループのサービスは70以上。金融は「先進性」、ECやスポーツは「明るく楽しく」など、事業やサービスごとに個性があり、情報発信におけるトーン&マナーも異なる。楽天はもともとゴシック体のオリジナルフォントを持っていたが、「それだけでは、さまざまに広がる各事業のニーズやイメージに応えられなくなっていた」と、今回のフォント開発を担当した楽天デザインラボの河上洋樹マネジャーは話す。
目指したのはウェブサイトやアプリ、印刷物など、どのメディアでも判別しやすく読みやすい書体であること。
「例えば、文字のサイズが小さくなると『c』が『o』に見えることがあるので、文字の端を斜めにカットするなど、できる限り読みやすくなるように工夫した」と楽天デザインラボのデザイナー、タイ・チーイエン氏は説明する。オリジナルフォントは、すべての楽天グループで必要に応じて適用していくという。
この記事は会員限定(無料)です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー