多くのD2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)ブランドが商品価値を高めるために、「パーソナライゼーション」を取り入れている。顧客の趣味嗜好やライフスタイルに合った商品を提案するマーケティング手法だ。このパーソナライゼーションを支援するソリューションが相次いで登場している。D2C市場拡大の起爆剤となるか。
ライフスタイルや価値観の多様化によって、消費者はより自分に合った商品を求めるようになっている。その究極形がオーダーメードだろう。従来はオーダーメード商品といえば、手間がかかり高額という印象が強かったが、デジタル技術の進化や少量生産に対応したOEM(相手先ブランドによる生産)メーカーとの連携などによって、スタートアップ企業でも手ごろな価格でオーダーメードに近い商品提供が可能になった。
D2Cブランドは最たる例だ。D2Cブランドはデジタルを活用して商品と体験が一体となった販売手法に取り組むケースが多い。デジタルを活用して顧客の嗜好を把握し、個別にフィットした商品を届ける手法はパーソナライゼーションと呼ばれ、体験価値を高める手法として取り入れられている。さらに顧客と直接つながることで、届けた商品の向き不向きなどの評価をデータとして蓄積することで、より顧客に合った商品を提案して、継続的な購入につなげている。これがニッチなニーズを捉え、新しいブランドが徐々に消費者に受け入れられ始めている。
大手企業からブランド展開の問い合わせが増加
こうした動きは、大企業にとっても無視できない存在になっている。パーソナライズシャンプー「MEDULLA」を展開するSparty(東京・渋谷)の深山陽介社長は、「自社でパーソナライズブランドを展開するにつれ、大手食品メーカーや美容品メーカーから、パーソナライズしたサービスを提供するにはどうすればいいかという相談を受ける機会が増えてきた」と言う。パーソナライズブランドは、消費者の嗜好と商品をマッチする仕掛けが必要になる。マスプロダクトを中心に展開してきた大企業はそうしたノウハウを持たないため、支援サービスの需要が高まっている。
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