飲食店マーケティング支援会社のfavy(ファビー、東京・新宿)は、小田急SCディベロップメント(東京・新宿)が運営する「新宿ミロード」の対象飲食店で横断的に使えるサブスクリプションサービスを2020年9月1日から始めた。商業施設単位で飲食サブスクを導入するのは初の試み。その狙いとは?

新宿ミロードの入居飲食店のうち15店舗でサブスクプランを実施
新宿ミロードの入居飲食店のうち15店舗でサブスクプランを実施

 favyは2019年6月からサブスクリプションモデルの導入支援サービス「favyサブスク」を開始。これまでに居酒屋チェーンの串カツ田中の「田中で飲みPass」(月額500円で対象ドリンクが何杯でも199円・ともに税別)や、キリンビールが展開する複数銘柄のクラフトビールサーバー「Tap Marché(タップ・マルシェ)」導入飲食店が提供する「CRAFT BEER PASSPORT」(月額2800円・税込み、月~金曜は1日1杯無料)などで活用されている。その累計流通総額は20年6月時点で1億円、累計登録者数は1万5000人を突破した人気のサービスだ。

 折しも、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛ムードや営業時間短縮などの動きが広がり、多くの飲食店が窮地に立たされている。そんな中、favyサブスクの導入店舗は、「住宅街の店舗では逆に来店客が増えているケースもあり、オフィス街の店舗は出社する人が減った影響を受けつつも平時の2~3割減にとどまっている」(favyの高梨巧社長)。

 その要因の1つは、サブスク会員になることで「自分の店」という意識が芽生えることだろう。コロナ禍でふらっと飲食店に立ち寄る動機が減る中でも、「どこかで食べるなら“自分の店”に」という行動につながりやすくなる。これは、あまたある飲食店の中から都度行く店を選ぶストレスから解放されることでもある。

favyサブスクの導入店舗は平均来店頻度が月3.2~22回と、いずれの業態も高い水準
favyサブスクの導入店舗は平均来店頻度が月3.2~22回と、いずれの業態も高い水準

 実際、favyサブスクが飲食店にもたらす効果は絶大だ。1つは来店回数が急激に増えること。例えばドリンク1杯無料のサブスクを提供するバル業態では、サブスク会員の平均来店客数が月7.8回に上る。また、飲み放題無料を提供する総合居酒屋業態でも同3.2回という結果が出ている。業態ごとに来店頻度は異なるが、「サブスク非導入店に比べて10~20倍は来店してもらえるようになっている」(高梨氏)。

 また、実質的な割引施策となるサブスクを導入しても、客単価が下がらないことも特長だ。“入り口”のドリンクが無料になることで顧客は心理的な安心感が生まれ、新しいメニューにチャレンジするなど、フードを多く頼む傾向があるという。

 さらに、こうして生まれた接点を生かし、導入店舗はデジタルで顧客管理をし、効果的にコミュニケーションを取れる。favyサブスクは主にウェブブラウザーやアプリで会員券を購入し、飲食店で都度提示する仕組みだ。これにより、各ユーザーの利用回数、利用頻度といった行動データをきちんと取れ、それに応じて適切なタイミングで来店を促せる。これまでアナログなつながりが主だった飲食店において、DX(デジタルトランスフォーメーション)の一歩となる仕組みといえる。