NTTデータはグローバル戦略を強化するため、デザイン思考による企業情報システム提案に力を注いでいる。このため自社で独自のデザインシンカーを育成したり、デザインシンカー集団に特別なブランドを付けたりして、世界中のクライアント企業に強くアピールしている。
デザインシンカーとは、デザイン思考によってクライアント企業のソリューションやビジネスモデルを提案したり、ユーザーエクスペリエンスや実証実験などを手掛けたりする担当者のこと。日立製作所など大手ITベンダーが積極的に増強している人材だ。
NTTデータの場合、デザインシンカーの拠点となるデザインスタジオは現在、日本やイタリアなど10カ国に16拠点がある。人数は世界で550人で、社内人材の育成に加え、外部採用にも積極的だ。2020年6月には各国のデザインスタジオをまとめ、デザインシンカー集団を「Tangity(タンジティ)」と呼ぶ新ブランドとして打ち出した。日本やイタリア、ドイツ、英国の4カ国がいち早く同ブランドの使用を開始した。
これまでは各国がそれぞれのブランド名で推進していた。例えばイタリアには「Digital Entity」があり、日本でも18年に「AQUAIR」として開発から実証実験までを実施していた。既に各国に根付いたブランドがあるのに新ブランドを創設した理由は、ローカルでの認知度は高いが、グローバルでの求心力が弱かったためだという。
「定着しているブランドをあえて捨てるのかという議論もあった。Tangityを創設した理由の1つが、グローバル規模でビジネスに取り組めるということを内外にアピールしたかったから。そうすることで、グローバルで活躍できる人材を集めたいという狙いがあった。1つの大きな旗印を掲げたことで、外部の優秀な人材にも見つけてもらいやすくなっただろう」(技術革新統括本部システム技術本部デジタル技術部イノベーションデザイン担当の渡辺健彦部長)
また、イタリアは金融、ドイツは自動車といったように、国ごとに得意な分野や経験も異なる。こうした強みや経験をグローバルに共有しながら、さまざまな案件をこなしていく方針だ。
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