新型コロナウイルス感染拡大でアパレルECサイトの利用が拡大する中、ユーザーの不満として再燃しているのが「サイズ問題」だ。これを解消するサービスとしてアパレル企業から支持を集めているのが、メイキップ(東京・新宿)が手掛けるバーチャル試着&適正サイズレコメンドサービス「unisize(ユニサイズ)」。その導入効果は驚くべきものだった。

メイキップが提供する「unisize(ユニサイズ)」のイメージ
メイキップが提供する「unisize(ユニサイズ)」のイメージ

最短1分の簡単操作で最適サイズを表示

 メイキップは現在、国内外110のファッション系ECサイトへバーチャル試着&サイズレコメンドサービスの「unisize(ユニサイズ)」を提供している。ベイクルーズやシップス、ワールドなどSPA(製造小売業)の他、商業施設や百貨店のECモールでも導入。各サイトの商品詳細ページに表示される「あなたにぴったりのサイズを知る」というバナーが、ユニサイズのウェブ試着室への入り口に当たる。

 バーチャル試着市場では、これまでZOZOスーツのような専用ウエアを着用したり、大型の3Dボディースキャナーで計測したりと、ユーザーに面倒な作業を強いる方法が中心だった。それに対し、ユニサイズではわずか1分程度で簡単に最適なサイズを見つけられるのが大きな特徴だ。

ユニサイズのサイズ測定の流れ。アンケートやAI写真採寸、購入履歴、洋服採寸からサイズを割り出す
ユニサイズのサイズ測定の流れ。アンケートやAI写真採寸、購入履歴、洋服採寸からサイズを割り出す
ユニサイズを導入しているアパレルECサイト上の「あなたにぴったりのサイズを知る」アイコンをクリックすると、登録した自分の体形に合ったサイズがレコメンドされる
ユニサイズを導入しているアパレルECサイト上の「あなたにぴったりのサイズを知る」アイコンをクリックすると、登録した自分の体形に合ったサイズがレコメンドされる

 サイズを割り出す仕組みは、顧客の体形を測定する方法と、手持ちの洋服と比較する方法の2つ。例えば、体形からアプローチする場合は、普段よく着るブランドのサイズなど簡単な質問に回答して導き出すか、実際にユーザーが手持ちのスマートフォンで正面と側面の全身写真を撮影し、その画像を基にAI(人工知能)が体のサイズを推定する。採寸結果は、丈感やゆとり感を数値で、着用イメージをシルエットで表示するため、視覚的に分かりやすい。

 一方、ECサイトでの購入履歴がある場合は、過去に購入した洋服とのサイズを自動で比較できる機能も利用できる。購入履歴がなくても、手持ちの洋服の実寸を測って登録すれば、各部位の差を数値とシルエットで表示し、最適なサイズを薦めてくれる。「計測した身体のシルエットの上に、買いたい洋服のイラストが重なるように表示されるので、着用感を視覚的に把握できる。いろんな採寸方法が選べて1分程度で登録できるという簡便さも強み」と、メイキップの柄本真吾社長は胸を張る。

 同社では、国内外のブランドのサイズとさまざまな人体部位データを収集して解析し、独自のアルゴリズムを構築。定期的なユーザーテストによってアルゴリズムをアップデートし、サイズの精度向上にも余念がない。

 ユニサイズの利用者数は累計500万IDを突破しており、同様のサービスを提供する業界の中では最も認知度が高いという。利用者は20~40代の女性が中心で、その満足度も93%に達している。「着用したらぴったり」「すぐに判断できる」「シルエットでイメージできるので納得感がある」など評価は高い。

 ユニサイズがアパレルやユーザーから支持されるもう1つの理由が、どのECサイトでも利用できる汎用性の高さだ。例えば、ベイクルーズのECサイトにログインすると、過去に別のブランドサイトで購入した商品や手持ちの商品もユニサイズ側で検知し、ベイクルーズで購入したい商品とのサイズ比較ができる。それが可能になるのも、登録・購入履歴などの顧客情報をユニサイズで蓄積しているからだ。

 「世の中にある膨大なサイズデータのプラットフォームとしてユニサイズを開発した」と柄本氏。その結果、ユーザーにとって便利にモノが買える環境作りはもちろん、サプライヤーにとっては近い将来、在庫の最適化にも貢献できるという。サイズを推奨するサービスにとどまらない可能性を秘めたビジネスというわけだ。

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