通話中に交わした言葉が自動的に全文文字起こしされ、要約される。会話の速度や抑揚の強弱、沈黙の回数まで克明に映し出す画期的なサービスが、新型コロナウイルスによる在宅勤務の拡大で急速に利用者数を伸ばしている。その名も「MiiTel(ミーテル)」。日本発の技術で、世界進出まで狙っている。
Revolution×Communication。コミュニケーション革命を目標に掲げる企業がある。RevComm(レブコム、東京・渋谷)だ。手掛けるのは、「MiiTel」というAI(人工知能)搭載のクラウドIP電話。パソコンのブラウザー上からワンクリックで発信でき、会話の内容をAIがリアルタイムで解析。通話の中身を完全に見える化した。
驚くべきは、その解析内容だ。1秒当たり何文字話しているのかという「話速」や、会話のやり取りが何回あったかという「ラリー回数」、相手の会話にかぶせて発言した「かぶり回数」、さらには話している時間と聞いている時間の比率を示す「Talk:Listen比率」、沈黙回数、抑揚の強弱まで、極めて細かく結果が分かる。
会話内容はすべて録音され、倍速再生も可能。なおかつ自動で全文文字起こしされ、テキストを一部抜粋して共有したり、コメントを残したりすることもできる。ビデオ通話にも対応しているため、録画した動画にテロップも入れられる。文字起こし精度は高い。
そして解析したデータを基に応対評価を100点満点でスコア化する。会話の癖が定量的に表示されるため、ウィークポイントが見えるのだ。例えば「かぶり回数」が多い場合は「相手が話し終わって0.5秒おいてから話し始める」ことを心がければ、会話のキャッチボールはよりスムーズになる。新型コロナウイルスの感染拡大により在宅勤務が広がり、新人教育もままならない中、このセルフコーチングができる点が受け、導入企業が増えているのだ。
緊急事態宣言の発令前に5000人程度だったユーザー数は、わずか数カ月で約1万人と倍増(20年7月末時点)。ソフトバンク、富士通、パーソルホールディングスといった大手企業から、マネーフォワード、エアトリ、ビズリーチ、スマートキャンプなどのスタートアップ、地方の中小企業まで、業界や規模を問わず、既に300社以上が導入し、累計で1600万回もの通話がMiiTelを通してなされているという。
狙うは「ブラックボックスの解消」
なぜ、レブコムはAI搭載型のIP電話に勝機を見い出したのか。「ブラックボックス化問題を解消したかった」と會田武史社長は語る。
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