びっくりドンキーを展開するアレフ(札幌市)は、新業態の店舗「ディッシャーズ」で、タブレットと精算機を連動させることで、配膳以外の接客業務を削減できるシステムを導入した。自動精算システムなどを手がけるアルメックス(東京・品川)が開発した。客がオリジナルメニューを作成できる楽しさで売り上げ向上も見込める。人手不足に悩む飲食業界に一石を投じそうだ。
2020年6月に江ノ島(神奈川県藤沢市)と東京・新宿の2カ所でオープンした「ディッシャーズ」は、びっくりドンキーと同じくハンバーグを中心としたメニューを提供する。セルフオーダーや自動精算機を導入した省人化運営の店舗で、客と店員の接触が少ない。withコロナ時代の新習慣にも適応した店舗といえそうだ。
ディッシャーズには全席にタッチパネル式のオーダー端末が設置されており、客は席に着いたら人数を入力して注文画面へと進む。メインはハンバーグ、ライス、サラダで構成されたディッシュ(ワンプレート)メニュー。ソースやトッピングの種類、ライスやサラダの量などを変更して自分だけのオリジナルメニューを作ることができる。
客が好みの食材や量を選択すると画面上のイメージが更新され、ボリューム感や彩りを確認できる。目の前でメニュー作りの楽しさを演出できることから「エンタメオーダー」と名付けられた。客がオーダーすると、データだけでなく、出来上がりのイメージ画像を調理スタッフに送信する。1品ごとに異なるオリジナルメニューでも、調理のミスを防ぐようにしている。
40卓ほどの規模の店舗であれば、キッチン2人、ホール1人の最少3人で運営が可能になるという。
スタッフの教育期間も短縮
客がテーブルに設置された端末を使って注文を入力する、いわゆるテーブルトップオーダーをびっくりドンキーの系列店で導入したのは今回が初めて。アレフのオペレーションプランニングチーム中嶋義則氏は「高生産性の店舗を実現するためにはテーブルトップオーダーの導入が不可欠だった」と話す。ハンディターミナルを使用した従来の方法では、スタッフが使い方を覚えるまでに時間がかかったり、操作ミスが発生したりするからだ。
ディッシャーズのオープンに先んじて今年3月から同システムを試験的に導入したびっくりドンキー南池袋店では、注文を客が自ら入力することでスタッフのオーダーミスがなくなり、月あたり約80食のフードロスを削減できたという。
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