「世界デジタルカンファレンス2020」(日本経済新聞社主催)のパネルディスカッション「ニューノーマルにおけるDX推進戦略」の後編。待ったなしで加速すべきDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を、アフターコロナの企業はどう行うべきなのか。顧客との新たな関係、データの価値化など4つのテーマで議論していく。

「世界デジタルカンファレンス 2020」は日経ホールで無観客開催し、オンライン配信された
「世界デジタルカンファレンス 2020」は日経ホールで無観客開催し、オンライン配信された
<パネリスト>
●D4DR社長 藤元健太郎氏
●TOUCH TO GO社長/JR東日本スタートアップ マネージャー 阿久津智紀氏
●パイオニア モビリティサービスカンパニー Chief Digital Officer 石戸 亮氏
<モデレーター>
日経クロストレンド・日経トレンディ発行人 杉本昭彦

前編はこちら

杉本昭彦(以下:杉本) ニューノーマルでの変化に加え、DXも引き続き大きなテーマになっています。

 これを踏まえ、DXの要点である(1)顧客との新たな関係(2)データの価値化(3)プライバシー保護(4)組織・人材育成の4つのトピックで議論を進めていきます。まず、(1)について、顧客や社会のニーズの視点で見ると、新型コロナの前後だけでなく、この先数年単位で顧客との関係は変わっていくと思われます。

阿久津智紀氏(以下:阿久津) JR東日本は駅という集約性が高い場所に目を付け、それによって売り上げや場所の効率化を極限まで高めていったのが、今の山手線内のエキナカの商業施設です。ところが、コロナ禍では状況が一変し、人が密集することがリスクになり、顧客のニーズと既存のサービスにギャップが生まれています。

 人が集まることで、多くのショップにテナント貸しができますし、家賃を下げなくても埋まるビジネスモデルでしたが、今は逆にそこがリスクになっていることが怖い点です。

 一方、今回のTOUCH TO GO(タッチ・トゥ・ゴー)では、もともと見ているマーケットが自販機以上コンビニ未満。業界的にいうと、コンビニは売り上げが50万円を切ると人件費の部分で成り立たず、自販機は1日2000~3000円売れれば成立します。今のところ、その中間の業態がなく、今回のタッチ・トゥ・ゴーのシステムは、そこでも商売が成り立つようにすることをモットーに進めています。

阿久津 智紀 氏
TOUCH TO GO社長・JR東日本スタートアップ マネージャー
2004年JR東日本に入社、東日本キヨスク(現JR東日本リテールネット)に出向。駅ナカコンビニNEWDAYSの店長や、専門店の店舗開発業務を担当。07年にJR東日本ウォータービジネスに出向し、自動販売機の飲料商品の仕入れを担当。JR東日本、JR東日本青森商業開発で商業施設「A-FACTORY」の企画、運営や青森でのシードル工房事業を担当。14年JR東日本事業創造本部で共通ポイント「JRE POINT」の企画・運営を担当。17年からはJR東日本スタートアッププログラムを担当し、19年7月より現職

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