新型コロナウイルスの影響下でも、米ペガサス・テック・ベンチャーズのアニス・ウッザマンCEO(最高経営責任者)は、投資はスローダウンしていないと話す。日本を含む世界で今ビジネスパーソンが知っておくべき新成長分野は何か。同氏は製造の自動化、遠隔医療、デリバリーなどを挙げる。
ペガサス・テック・ベンチャーズパートナー兼CEO
米国ではいまだロックダウンによる移動の制限がありますが、コロナ禍前後で投資額や投資先に変化はありましたか。
私が住むシリコンバレーでは、ベンチャー投資の業界はオンライン上でビジネスが完結するケースが多いので、大きな影響は今のところありません。
投資自体はスローダウンせず、毎週のように投資しています。20年4月にはモバイル動画サービス「Quibi(クイビ)」を提供する米クイビ・ホールディングスに40億円近く投資しました。YouTubeなどは誰でも投稿が可能ですが、Quibiは全てプロの動画スタッフがコンテンツを作成、投稿しています。今米国でホットな企業です。直近ではテクノロジー系の企業への投資が多く、20年6月には生体認証技術開発のノルミー(東京・中央)に2億7000万円を投資しました。
投資先には大きな変化があります。コロナ禍でトレンドになりつつある業界がたくさんあり、そこに対して戦略を変更したり、重点分野の見直しを行ったりしている最中です。
今後日本にはどのような影響が出てくると思いますか。
日本は緊急事態宣言も全面解除されていますが、世界に目を向けると発展途上国での感染が広がっています。その影響が今後出てくるでしょう。
例えば、自動車メーカーのトヨタ自動車は世界中で車を販売していますが、海外での販売台数のほうが多いです。世界中の人々が店舗を訪れて車を買えるかというと、そうではありません。人々はこのコロナ禍が落ち着いたら買おうというマインドになっているでしょう。収束が見えず、車の販売も落ち込んでいるというのが現状です。同様に日本の電化製品など、世界中で使用されている商品やサービスは、売り上げに大きな影響が出てくるでしょう。
日本だけでなく先進国のメーカーは商品生産のために、諸外国のサプライチェーンを頼っています。例えばブラジルに行くと、大きな工場の多くは日本企業のものです。現在ブラジルでは、新型コロナ感染が爆発的に広がっています。経済活動がストップすれば、生産も輸出も厳しくなる。日本や米国などのサプライチェーンに大きな影響を及ぼすでしょう。
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