コンテンツ配信プラットフォームの「note」を運営するnote(東京・港)が、企業コミュニティー構築サービスに参入する。新サービス開始を視野に、2020年4月から新たな機能の試験運用を開始したことが日経クロストレンドの取材で分かった。noteは20年5月に月間利用者数(MAU)が6300万人に達した。企業のマーケティング活用がさらに加速しそうだ。

コンテンツ配信プラットフォーム「note」は2020年5月に月間利用者数(MAU)が6300万人に達した
コンテンツ配信プラットフォーム「note」は2020年5月に月間利用者数(MAU)が6300万人に達した

 noteが試験運用を始めたのが「サークル機能」の無料版だ。サークル機能はもともと月額制のコミュニティー、いわゆるオンラインサロンをつくれる機能として20年2月5日に提供が始まった。

 サークルオーナーが自身の持つノウハウや独自のコンテンツなどをサークル会員限定で提供し、会員から月額費用を得る。現状の仕組みでは有料のコミュニティーしか開設できないが、無料で参加できる企業コミュニティーを開設できるようにする方針。企業はnote上に登録制のコミュニティーを構築できるようになる。

 企業コミュニティー構築サービスでは、クオン(東京・港)が老舗として知られる。ポッカサッポロフード&ビバレッジの「じっくりコトコト ファンコミュニティ」やクレハの「クレライフ コミュニティ」など、さまざまな大手企業のコミュニティー運営を支援している。少子高齢化が進み、新規顧客の開拓が難しくなる日本市場では、既存の顧客との結びつきを強くし、力を借りるファンマーケティングが注目を集めている。noteの企業コミュニティー構築サービス参入は、企業のファンマーケティングを後押ししそうだ。

 note活用企業がサークル機能をマーケティングに活用できるようになると、既存顧客やnote上の読者とのつながりをより強固にする施策を実施できる。例えば、noteの通常記事では伝えられない情報を、サークル参加者限定のウェビナーで配信できる。また、現状noteには自社のコンテンツの読者同士が交流を深められるような機能がない。サークル機能を使い、企業がファシリテーターとなることで、オンライン上で読者同士の交流が活発になれば、結果的に企業との結びつきも強くなるだろう。

noteが無料サークルの試験運用開始

 noteはサービス化に先駆け、まずは自社で活用に取り組み始めた。20年4月に「note」のサークル「【公式】サークルをたのしむ会」を開設。無料で参加できる。「無料で参加可能なサークルの運営に必要な機能やノウハウ、課題点を見つけて改善を施した上でサービス化を目指す」(note事業開発部の佐々木望氏)ことが先行運用の狙いだ。

 noteのサークルには約4000人が参加している。サークルの運営に興味がある利用者を対象としているため、既にnoteを使い慣れた濃い利用者が集まっているという。サークル運用を手掛けるユーザーコミュニケーション担当の金子智美氏は、前職のLINE在籍時に「かねとも」の愛称で知られ、「NAVERまとめ」や「LINE」利用者とのコミュニティーづくりに努めた実績を持つ。サークルではnoteの新機能をいち早く告知して利用を促したり、利用者から要望を募集したりして、利用者とのつながりを強めている。加入後に利用者が自身でサークルを立ち上げるなど、利用促進につながる効果が出ている。

noteは20年4月から無料で参加できるサークル「【公式】サークルをたのしむ会」の試験運用を始めた
noteは20年4月から無料で参加できるサークル「【公式】サークルをたのしむ会」の試験運用を始めた

 こうして利用者との結びつきが強くなれば、noteの利用促進につながり、それがさらなるサービスの成長につながる。noteの利用モチベーションの向上、いわゆるカスタマーサクセスは、noteにとって継続利用率を高めるための重要なマーケティング施策になる。このような運営や指標設計などのノウハウを蓄積した上で、機能改善を施して企業向けに提供する計画だ。

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