苦境をチャンスに変える「解」を導く

恐怖に打ち勝ち、経済的なダメージを少なくするためには何をすべきでしょう?

森岡氏 大切なのは「100かゼロかではなく、プロならばその間で考え抜け」ということです。

 会社や店を経営していて、クラスターを発生させてしまうのは恐怖です。それを避けるための最もシンプルな方法は、たとえ利益が出なくても、会社を閉めてしまうことです。安全のためにそうしたと言えば、株主にも言い訳が立ちます。しかし、それは経営者としては「自己保存」にすぎない。経済を活性化させるには、ある程度のリスクも取らなければいけない。その決断ができる人材が求められています。

 これはリーダーに限った話ではありません。要はビジネスパーソンの一人一人が、それぞれの持ち場でプロになれ、という話です。プロとは何か。安全を取るか、経済を取るか、2つの使命が相矛盾する中で、どちらか一方に偏らず、目的に応じた最適解を導き出せるということです。100%の安全を求めて、みんなで家に閉じこもるだけなら、プロじゃなくてもできるのです。100とゼロの間で決断できることが重要です。

100でもゼロでもない判断を下す際には、何を基準にすれば良いでしょう?

森岡氏 企業やブランドとして「何を守るべきか」を決めることが大切です。それは、会社の都合ではなく、消費者目線でないといけない。つまり、お客様との究極の約束を守るということです。もちろんコロナによって消費者の意識が変わる中、ブランドの再定義を迫られることはあるでしょう。その場合も、消費者のプレファレンス(ブランドへの好意度)獲得につながる核心を外してはいけません。それこそが守るべきポイントだからです。

 消費者との信頼関係を保つために、コロナ環境下の文脈で、従来のやり方を修正していくことが、私は正しいと思う。企業が生き残れるかどうかの分かれ目は、今後1年以内に来ると見ています。それまでに何を守ればよみがえるのかを見極めなければいけません。逆に言えば、世の中の人々の本意に沿えれば、経済的に苦しい時代にあっても、中長期的にブランドのプレファレンスを上げることもできる。苦境をチャンスに変えられるのです。

「消費者との『約束』を守れ」

■ プレファレンス(消費者からの好意度)を中長期的に上げる好機を逃がすな
プレファレンスを左右するのは
  1. ブランドエクイティ(消費者がブランドに持つイメージ)
  2. 価格
  3. 製品やサービスのクオリティ

 プレファレンスを上げる 
  
 消費者に選ばれる確率が上がる 
  
 市場シェアが上がる 
■ 苦しいときでも「強いアイデア」を生み出す4つの要素
  1. フレームワーク:
    アイデアを生むために何を必死に考えるべきか、その必要条件を明確にする
  2. リアプライ:
    過去から現在までの参考になる事例に目を向ける
  3. ストック:
    日頃から情報を質的・量的に蓄積して得意分野をつくり出す
  4. コミットメント:
    淡白な人に「アイデアの神」はほほえまない。考え付くまで、考え抜く!

後編(7月7日公開予定)に続く

(写真/水野浩志、高山 透)