新型コロナウイルス禍で、ヨガやエクササイズ、ボディーメークなどのスタジオレッスン事業者は、人と会うことが制限され、大打撃を被った。だが、多くの人が家にいる時間が長くなる中、新たな鉱脈として注目を集めているのが、ネット経由でプログラムを配信するオンラインレッスンだ。個人や事業者にオンラインでサービスを売るためのプラットフォームを展開するMOSH(東京・目黒)の藪和弥社長に、驚きの実態を聞いた。

MOSHは、個人や事業者がネットでサービスを販売できるプラットフォーム
MOSHは、個人や事業者がネットでサービスを販売できるプラットフォーム

オンラインで「1対多人数」のレッスン

 筋肉を部位別に鍛えることによって、理想の体を手に入れる「ボディーメーク」を個人レッスンで提供してきた、ある著名なインストラクター。新型コロナウイルス感染防止の観点から人同士が集うことが難しくなり、リアルな場でのレッスンが実施できなくなった。そこで思い立ったのが、オンライン会議システムのZoomを使って、自分のファンに課金制のオンラインレッスンを配信することだ。

 専用のホームページを開設して、TwitterやInstagramで宣伝。ホームページ上で予約と決済ができるようにし、予約者にはZoomのURLを送信、当日は約1時間のプログラムで画面を通じてリアルタイムに配信した。これを毎週決まった曜日に月4回提供し、月額を約1万円と設定したのだ。

 巧みだったのは、個人レッスンではなく、1対多人数のグループオンラインレッスンで割安な料金設定としたことだ。これにより、リアルの個人レッスンだと高額で受講できなかったファンが殺到し、契約数は500人に達した。月額約1万円なので売り上げは実に月約500万円。インストラクターはあっという間に“Zoomレッスン長者”にのし上がった――。

 このインストラクターのように、オンラインレッスンを展開し、苦境に立たされている同業者を尻目に、新たな稼ぎの方程式を手にする個人事業主が増えている。彼らが利用している個人のスキルを売るプラットフォームが、急成長している「MOSH」だ。新型コロナ禍のさなか、2020年4月には予約・取引件数が前月比260%増を記録し、5月は同136%増と勢いが止まらない。MOSHを介して提供されるオンラインレッスンは先述のボディーメークの他、ヨガやエクササイズ、キックボクシングなど多彩だ。

MOSHの予約・取引件数の推移。新型コロナ禍でも急成長している
MOSHの予約・取引件数の推移。新型コロナ禍でも急成長している

 個人のスキルを売るプラットフォームとしては、「カフェトーク」や「ココナラ」が大手。MOSHがそれらの先駆者と決定的に異なる点の1つは、今はやりのZoomやインスタライブなどと手軽に連携できることだ。例えばZoomなら、MOSH上でオンラインレッスンの予定を設定するだけでZoomのURLが自動発行され、レッスンに参加する予約者に対してそのURLが自動的に送付されるという便利さだ。さらに、売り上げに対してMOSH側が取る手数料が3.6%と少ないこと(通常は8%、現在は割引中)も挙げられる。カフェトークはSkypeのみ使用可能で手数料が最大40%、ココナラは独自のビデオチャットしか使えず、手数料が最大25%であることに比べると、格段に条件がいい。

 また、MOSHは初期費用無料でスマホを使ってものの数分でホームページを作ることができ、予約・決済、顧客管理などの機能も付く。後は、レッスン提供者が自らSNSなどを活用して告知、集客し、当日にZoomなどを使って1対1、あるいは1対多人数でレッスンを行うだけだ。「予約・決済からZoomなどでのオンラインレッスン開催までワンストップで実現できる点が受けている」と、MOSHの藪和弥社長は話す。

MOSHの機能イメージ
MOSHの機能イメージ
スマホ1つでサービスの販売サイトを立ち上げられる

 いわば物販のネットショップを簡単に開設できる「BASE」のサービス版ともいえるもので、思い立ったその瞬間から極めてハードルが低い状態で手軽に始められる。MOSHでオンラインレッスンを含めたサービスを売る個人は増え続けており、20年6月には1万事業者を突破した。

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