キリンビバレッジは「共感」をテーマにしたマーケティングでブランドの強化を図っている。共感を獲得してファンを増やしている「ムーギー」の事例とパーパス・ブランディングの取り組みを紹介する。マーケティング本部の山田雄一マーケティング部長は、「全ブランドの社会的意義を規定し、一貫したマーケティングを推進している」と話す。

ECサイトのみで販売している「生姜とハーブのぬくもり麦茶 moogy (ムーギー)」は、将来のマーケティングの「種を育む」という位置付けで、パッケージデザインやファンとのつながり方など、実験的な取り組みを行っている
ECサイトのみで販売している「生姜とハーブのぬくもり麦茶 moogy (ムーギー)」は、将来のマーケティングの「種を育む」という位置付けで、パッケージデザインやファンとのつながり方など、実験的な取り組みを行っている
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 SNSでの情報発信を中心に一般ユーザーの共感を獲得してファンを増やし、売り上げを伸ばしているブランドがある。キリンビバレッジの「生姜とハーブのぬくもり麦茶 moogy(ムーギー)」だ。ムーギーは、冷えが気になる女性に向けて開発した健康ブレンド麦茶。ECサイトのみの販売で市場は決して大きくないが、2018年は販売方法のリニューアルにより出荷数が伸びて40%増、19年はその数値をキープして1%増。20年も好調に推移しているという。

 ムーギーは16年のブランド誕生当初から、ファンとのつながりを大切にしながらシェア拡大を目指すという、独自のマーケティングを行っている。具体的にはInstagramを中心としたSNSで情報発信を行い、ファンを招いたワークショップやファンミーティングなども開催。新型コロナ禍による外出自粛期間の今年5月には、Instagramによるライブ配信機能、通称「インスタライブ」にも挑戦した。ファンミーティングの参加希望者はInstagramで募り、インスタライブもファンからの要望だったという。

 ムーギーファンは、ムーギーのどこに共感しているのか。同社の調査によると1位はパッケージデザインのかわいさ、2位はムーギーのブランド担当者にあったという。手掛けるのは、キリンビバレッジ マーケティング本部マーケティング部 ブランド担当主任の寺島愛子氏と遠藤楓氏、嶺岸秀匡氏の3人。パッケージデザインは、デイナーの寺島氏と遠藤氏が担当している。

ムーギーの公式Instagramに投稿した写真の一部。Instagramでは「ムーギーがある暮らし」がイメージできる写真を数多く投稿している。ムーギーをプチギフトにする人も多い。その贈り方を提案する投稿も人気だ
ムーギーの公式Instagramに投稿した写真の一部。Instagramでは「ムーギーがある暮らし」がイメージできる写真を数多く投稿している。ムーギーをプチギフトにする人も多い。その贈り方を提案する投稿も人気だ
(左から)キリンビバレッジ マーケティング本部マーケティング部 ブランド担当主任の嶺岸秀匡氏、遠藤楓氏、寺島愛子氏。寺島氏と嶺岸氏は「世界のKitchenから」、遠藤氏は「iMUSE(イミューズ)」など、ムーギーの他にもキリンビバレッジの人気ブランドを担当している(写真/名児耶 洋)
(左から)キリンビバレッジ マーケティング本部マーケティング部 ブランド担当主任の嶺岸秀匡氏、遠藤楓氏、寺島愛子氏。寺島氏と嶺岸氏は「世界のKitchenから」、遠藤氏は「iMUSE(イミューズ)」など、ムーギーの他にもキリンビバレッジの人気ブランドを担当している(写真/名児耶 洋)

 ムーギーが目指している姿は、愛着を持って使う“生活雑貨”のような飲料。「その日の気分で洋服を選ぶようなワクワクした気持ちで、毎日の『飲み物』も選べたら、きっと楽しいはず」という思いを基に、パッケージデザインは衣替えをするように年4回各4柄、新デザインを発表している。パッケージは、手描きによる温かみのあるデザインが特徴。遠藤氏は「ムーギーが完成したとき、いいものができたからこそ、自分たちで魅力を伝えたいという思いが強かった。きっとムーギーの世界観に“共感”してくれる人がいるはずという確信もあった」と話す。