
メルペイ(東京・港)が運営するキャッシュレス決済サービス「メルペイ」と、NTTドコモが運営する同「d払い」の残高やポイントが、2020年6月下旬から連携される予定だ。この連携を前提に、メルペイの加盟店開拓戦略が変わり始めた。フリマアプリ「メルカリ」を運営する親会社メルカリのサービスと親和性の高い店を重点的に開拓し、利用頻度の向上を目指す。
メルカリとその100%子会社メルペイと、NTTドコモは、2020年2月に業務提携を発表済み。当初の予定から約1カ月遅れの同年6月下旬から、発表した連携施策を順次実現していく。
例えば、メルカリIDとdアカウントを連携し、メルカリでの取引1回につき、取引額100円(税込み)ごとに1ポイントのdポイントをユーザーに還元。たまったdポイントを1ポイント当たり1円(税込み)としてメルカリで使えるようにする。また、メルペイとd払いの残高の連携なども実現する計画だ。
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これにより、メルカリ、メルペイ、dポイントをすべて利用しているユーザーの使い勝手は大きく向上。たまったdポイントを活用できるメルペイ(ユーザー数約600万人)、d払い(ユーザー数約2526万人)とも、ユーザーの利用頻度が増すと見込んでいる。
さらに、NTTドコモから見れば、メルカリの月間アクティブユーザー(MAU)1538万人(19年12月時点)の中で、まだdポイントに縁のないユーザーを取り込める可能性が高まる。メルカリから見れば、7500万人(20年3月時点)を突破したdポイント会員で、フリマアプリに興味はあるもののまだそれほど利用していない一部のユーザーを、メルカリユーザーへと誘導できる。両者とも提携で顧客層拡大を見込める。
また、この提携により、メルペイとd払いのユーザーは、全体で見ると、メルカリの年間流通総額約5000億円と年間に利用されるdポイント約2000億ポイントを、キャッシュレスで決済する際の“別の財布”として使えるようになる。
ユーザーの多くは、決済アプリとひも付けてチャージしたり、クレジットカードの引き落としに使ったりする銀行口座の残高の増減には敏感だ。しかし、この“別の財布”の中身は、ユーザーの銀行口座と直接ひも付いていない。普段の生活を賄っていない“別の財布”のひもは緩みがちになる可能性が高く、「ユーザーに対して、キャッシュレス決済サービスの利用を促進する効果がある」とメルペイ執行役員VPの金高恩氏は言う。
メルカリの山田進太郎CEO(最高経営責任者)も、「今回の提携で、キャッシュレス決済に活用できる“別の財布”の中身は、国内事業者で最大規模になった」とユーザーの今後の利用促進に自信を見せる。
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