セブン銀行は女性客を意識し、デザインを刷新したATMの設置を進めている。テンキー操作時にピアノの音を鳴らして軽快さを演出。季節感にあふれたイラストを毎月変えて画面に表示。外観は丸みを帯び、利用者を包み込む優しさを表現した。

印象を変えるため、正面から見て赤地に大きなロゴを目立たせていた外観を、白に変更。ただし側面にコーポレートカラーの赤を残し、商業施設内や駅前に設置した際にも見分けがつくようにした(左が新型で右が旧型のATM)
印象を変えるため、正面から見て赤地に大きなロゴを目立たせていた外観を、白に変更。ただし側面にコーポレートカラーの赤を残し、商業施設内や駅前に設置した際にも見分けがつくようにした(左が新型で右が旧型のATM)

 「セブン-イレブンのATM利用者を調査した結果、女性客の比率が少なかった。そこで、どういったデザインが女性客にとって使いやすいのかを考えた。今回、開発メンバーに女性社員も参加しており、これまでとは違ったATMを目指した」と、開発プロジェクトに携わったATMソリューション部調査役の後藤清春氏は言う。

 新しいATMは「ATM+(プラス)」と呼ばれ、セブン銀行にとっては第4世代に相当する。2019年9月から東京都内を中心に導入を進めており、20年3月時点では約1200台を設置済み。これまで5~10年ごとにATMを更新しており、今後も全国にある約2万5000台(20年3月末現在)を順次、入れ替えていく。

外部クリエイターに依頼したオリジナル音

 ATM+の開発については14年ごろから議論が始まり、17年にシステム開発を担当するNECも交えて「第4世代ATM開発プロジェクト」が発足した。女性客がコンビニのATMを敬遠する理由を分析すると、手数料を取られるという理由に加え、他のコンビニ客の目線などがあり、近づきにくい無機質なイメージがあるためと分かった。狭い店内という環境のためか周囲が気になり、ためらいがあるようだった。こういった点を、デザインでどうカバーするかが問われた。

 まず操作性を大幅に見直し、使用することが楽しくなるように考えた。そこで出金額やパスワードを入力するテンキーを押すと、それぞれのキーに応じて軽やかなピアノの音が聞こえるようにした。以前のATMでもテンキー操作時に音を鳴らしていたが、入力の有無を確認する単なる電子音だった。今回は無機質な要素を減らすため、楽器の音に変更。外部のクリエイターに依頼して音源を作り、音はギターにするかピアノにするかまでこだわった。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
この記事をいいね!する