新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言の延長に伴い、多くの飲食店が苦境に立たされている。こうした状況を打破しようと、テークアウトやデリバリーに乗り出す店が相次ぐ。ランチタイムになるとテーブルを店先に並べ、持ち帰り用のお弁当を販売している光景をよく目にするようになった。

新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされている飲食店が、4月以降相次いでテークアウトやデリバリーに活路を見いだしている。しかし、実はある落とし穴に陥っており、継続的に消費者に支持される形でサービスを提供できていない場合が少なくない
新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされている飲食店が、4月以降相次いでテークアウトやデリバリーに活路を見いだしている。しかし、実はある落とし穴に陥っており、継続的に消費者に支持される形でサービスを提供できていない場合が少なくない

 緊急事態宣言の発令を機にテークアウトやデリバリーを開始するところが増えている。「飲食宅配代行サービスのUber Eats(ウーバーイーツ)に申し込んだが、新規登録が増えたために申請してもすぐには対応してもらえないと言われた」(ある飲食店経営者)という現象も起こっているようだ。

 例えば都内にあるビストロ「ワイン厨房tamaya大塚店」の場合、普段はワインやこだわりの1品で勝負するが、あえてテークアウトは家庭料理のような弁当で勝負する。価格は、炊き込みご飯は400円、味噌汁が付いても500円と激安に設定。狙いは当たり、初日に用意した弁当24個は20分で完売。急きょ24食分を追加したが、それも20分で売り切れた。その後も好調に売り上げを伸ばしているという。「まずはお客様が買いやすい価格に設定するところからテーク・アウト・メニューのアイデアを考えた」(上釜友宏店長)。

「ワイン厨房tamaya大塚店」は、24個のお弁当が20分で完売するなどテークアウトで人気を集める
「ワイン厨房tamaya大塚店」は、24個のお弁当が20分で完売するなどテークアウトで人気を集める

 にぎわいを見せるテークアウトデリバリーだが、残念ながら売り上げの落ち込みを補うほどにはなっていないようだ。別の飲食店の店長は「デリバリーやテークアウトはやらないよりはまし。だが、どう頑張っても前年同期の売り上げの2割にも満たない」と明かす。さらに別の店舗の店長も、「テークアウトやデリバリーは利益が出ないからやらない」とする。

 では、そもそもテークアウトやデリバリーで飲食店の経営を支えることは難しいのか。いや、そんなことはない。外食需要の減少分は、姿を変えただけで家庭の食卓で食べるシーンに確実に置き換わっている。そこから浮かび上がるのが、テークアウトやデリバリーに取り組んでいる飲食店の大半が、ある落とし穴に陥っている事実だ。

 実は多くの飲食店は、自店の強みを生かして、店舗で提供していた料理をそのまま自宅で食べてもらおうとしている。定食屋や安い居酒屋ならスーパーの総菜のような形だし、高級店ならオードブルセットやメイン料理といった形でだ。そこに落とし穴がある。

 店舗の料理を家に持ち帰ったとしても、出来たてで食べる店舗と比べれば当然味は落ちる。店で食べるより少しは安いかもしれないが、毎日買いたくなるほど安いわけでもない。競合がひしめき合う中で、店で食べるよりも味は落ち価格も安くないとなれば、販売に苦労する店舗が多いのは致し方ないだろう。