共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティマーケティング(東京・渋谷)が、北陸を舞台に実証実験を始める。スマートドライブ(東京・千代田)のセンサーデバイスをクルマに装着し、移動データを収集。それをPontaの購買データと掛け合わせることで、消費行動をより深く読み解く試みだ。Withコロナ、Afterコロナ時代を生き抜くヒントがつかめるかもしれない。
名付けて「Ponta Mobility(ポンタモビリティ)」プロジェクトが2020年5月中にも、富山、石川両県を皮切りに始まる。クルマのシガーソケットに挿し込むだけでデータ収集が始まるスマートドライブのデバイスを、モニターとして選んだPonta会員5人に配布。Pontaポイントを毎月数千ポイント付与する代わりに、2カ月間の移動データを提供してもらい、Pontaの提携店舗やその周辺店の利用状況を可視化する試みだ。
作成するレポートは2種類。モニター1人の消費行動を深く追った「N1レポート」と、対象人数を広げた「拡張レポート」だ。N1レポートでは、実際の移動データを基にどの店をよく利用するのかといった行動パターンを分析し、さらにインタビューを通して来店理由を深掘りする。
拡張レポートでは、モニターに近い属性を持ったPonta会員をグループ化し、Pontaアプリやメールを使って来店を促す情報などを配信。どのように反応するか効果測定する。
この2種類の分析レポートを希望する企業に提供し、対価を得るビジネスモデルだ。実証実験のモニターは、まずPonta会員の中からクルマの保有者を抽出し、Pontaの利用状況を加味して選定した。「例えば、Pontaと提携するガソリンスタンドや食品スーパーをアクティブに使っている人、ほどほどに使っている人、あまり使っていない人という形でセグメント化した」(ロイヤリティマーケティング営業統括グループ営業推進本部の上原健太郎氏)。利用頻度に応じてランク分けし、レポートもモニターごとに発行する計画だ。
ポイントプログラムは成熟産業
ロイヤリティマーケティングが社会実験に乗り出した背景には、現状への危機感がある。Pontaは楽天ポイント、dポイント、Tポイントと並び、4大ポイント陣営の一角を占める。会員数は9000万人を超え、KDDIとの連携で1億人超えも視野に入った。しかし「ポイントプログラムそのものが、ほぼ成熟産業になっている。極端な話、これまではカードをばらまきさえすれば、集客ツールとして機能していたが、データをどう使うかにより力を注がないと差別化が難しい局面に入った」(上原氏)。
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