ユーザーに適したレシピのスムージーを届ける月額制サービス「GREEN SPOON(グリーン スプーン)」が急成長している。2020年3月25日に販売を開始すると申し込みが殺到。20年4月の売り上げは目標値の2.5倍となった。外出自粛が広がる中、健康維持のためのサービスとして人気を集めている。
「自宅で食べるヘルスケア領域の事業で勝負したくて事業を始めた。そこに新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が広がり、結果的に追い風となっている」
こう語るのはGreenspoon(東京・渋谷)の田邊友則CEO(最高経営責任者)だ。サービス開始時期が偶然、新型コロナウイルスの感染拡大と重なった。リモートワークが広がり、運動不足などに悩む人が増える中、自宅でできるヘルスケアのニーズが高まっている。そこにサービスの特徴が合致し、顧客が急増している。
GREEN SPOONは顧客ごとに適したスムージーを届けるパーソナライズ型のサービスだ。ダイエットをしたい、筋力を上げたい、冷え性などの5つの体の悩みや、飲酒の頻度が高い、寝不足、肉魚不足といった5つの生活習慣の組み合わせに対して、25種類のスムージーのレシピの中から適した商品を定期的に届ける。
サービスの開発に先駆け、顧客層として想定する30~40代女性にアンケートを実施した。その結果、課題意識として挙がった、生活習慣や体の悩みに対するレシピを重点的に開発した。レシピの開発は管理栄養士や料理研究家の協力を得ている。
顧客ごとに適したレシピを提案するため、サービスの申込時にアンケート形式で体の悩みや生活習慣、野菜の取得量、アレルギーの有無、苦手な食材などについて回答してもらう。その回答に基づき、お薦めのスムージーのレシピを複数表示する。例えば、筋力増強を目指したい人向けのレシピ「Be HERO」なら、たんぱく質を多く含む食材や、たんぱく質の合成や分解を助ける成分を多く含む食材が使われている。それらの中から、飲みたいレシピを選んで注文する。
自分で作る商品設計に2つのワケ
レシピは60種類超の野菜、果物、スーパーフードを組み合わせたもの。カップに冷凍の果物、野菜、スーパーフードを詰め合わせて届ける。利用者はこれに水などを加えて自分でミキサーにかけてスムージーにする。わざわざ自分で作る必要があるなどひと手間かかるが、その商品設計には「栄養素」と「体験」という2つの理由がある。
1つ目の理由が栄養素だ。「市販のスムージーは製造過程で野菜を加熱することが多く、その段階で栄養素が失われている」と田邊氏は説明する。そこで、カットした野菜や果物を瞬間冷凍することで、無添加かつ栄養を損なわない形で家庭に届けることを目指した。そのためには、新鮮な野菜や果物を仕入れて、すぐに冷凍にする必要がある。そのため、仕入れからサプライチェーンを構築した。
GREEN SPOONのスムージーを作る工場は「大阪市東部中央卸売市場」という、関西地区の青果や水産物を中心とした卸売市場内に設置している。市場から直接食材を仕入れることで、スムージーに必要な食材をきちんと買い付けられる環境を整えると同時に、市場から仕入れることで原価を抑えた。
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