テレワークを5年近く実践し、世界を年間100日近く転々としながら第一線で活躍し続ける弁護士、それが藤井総氏だ。大企業からスタートアップ企業まで約70社に対して法律顧問として助言する同氏の働き方には、これからのテレワーク時代のビジネスパーソンが盗みたくなる様々な技が満載だ。いったいどのようなワークスタイルを実践しているのか。
——年間100日近く、世界各国を旅しながら約70社に対して法律顧問サービスを提供していらっしゃいます。本当に不便を感じずに働き続けられるものなのでしょうか。
藤井 総氏(以下、藤井氏) まったく問題ありません。といいますか、逆に快適です。顧問先の企業とは基本、企業向けのチャットサービス「ChatWork(チャットワーク)」とビデオ会議サービス「Zoom(ズーム)」だけでコミュニケーションを図ることができますから。これらに安全にファイルをやり取りするためにクラウドストレージ「Box(ボックス)」を加えた3点セットさえあれば、世界のどこに居ても仕事ができます。
3つのクラウドサービスを使うためのツールも、できるだけシンプルにしています。日々持ち歩いているのは、ノートパソコンの「MacBook」、テザリングで通信するためのスマートフォン「iPhone」が予備を含めて2台、そしてモバイルバッテリーと急速充電器、たったこれだけです。
よくモバイルWiFiルーターはカバンに入っていないのですかと言われるのですが、使っていません。予備まで用意してiPhoneを使うのは、決して「アップル信者」だからではなく、アップル製品なら万が一無くしたり盗まれたりしても、代替品が大半の国や地域にある直営店で手に入るからです。
Apple Storeは世界24カ国に500店舗以上展開しています。メイン機が壊れればすぐにサブ機に切り替え、サブ機もダメならApple Storeでもう1台買えばOK。クラウドサービス「iCloud」を使えば、瞬時に自分の環境を復活させて仕事に戻れます。MacBookを使っているのも、同じ理由からです。
これは私の持論なのですが、テレワークで安定的なパフォーマンスを常に出したいのなら、場所にもデバイスにもこだわるべきではないと思っています。こだわってしまうと例えば、あのデバイスを忘れたから今日は仕事ができない、あれがある場所ではないからちょっと仕事がやりづらいといった状況に陥ってしまいます。どこに行こうが、そこで想定外の何かが起ころうが、自分の思考や行動が制約されることだけはなんとしても避けたいんです。特に、海外には治安が悪い国もありますしね。
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
——通信回線の確保も苦労するのではないでしょうか。国によって旅行者がSIMカードを入手しにくいという話もよく耳にします。
藤井氏 「AIRSIM」という世界で100以上の国や地域で使えるSIMカードをご存じでしょうか。これがあると、国ごとの通信環境の違いを気にせずに済むので愛用しています。AIRSIMが素晴らしいのは、iPhoneにSIMカードをセットし、使いたい国・地域、そして日数や容量に応じたプランを専用アプリで選ぶだけで、すぐに旅先の通信キャリアが使える点にあります。
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