ペット保険のアニコム損害保険が堅調だ。2020年3月期第3四半期の契約数は前年同期比7.4%増の79万6167件となった。同社の成長に貢献しているのがLINEとチャットbotだ。LINE経由で保険金を請求できる機能や、無料で獣医師に相談できるサービスの開発で利便性を高めることで顧客の心をつかんでいる。

ペット保険のアニコム損害保険はLINEを活用したさまざまなサービスを開発して、顧客満足度を高めている
ペット保険のアニコム損害保険はLINEを活用したさまざまなサービスを開発して、顧客満足度を高めている
  • 「ごはんを食べないが、どうしたらよい?」
  • 「ダックスフンドだけど足が長め、これって平気?」
  • 「鳥の羽が抜けるけど大丈夫?」

 ペットを飼ったことがある人であれば、飼っているペットの様子の変化に不安を抱いたことは1度や2度はあるはず。そんなとき、いつでも気軽に相談できる専門家がいれば安心だ。

 アニコム損保は保険加入者にLINEで獣医師にペットの相談できる「どうぶつホットライン」を提供している。アニコム損保の社員のうち約100人が獣医師の資格を持つ。そのうち数人が持ち回りで営業時間内に、加入者からLINEで寄せられるペットの相談に対応する。獣医師は自宅でも対応可能なため、コロナ禍においてもサービスを提供できている。専門的な質問の場合には、より詳しい別の社員に対応を依頼できる。

アニコム損保は保険加入者向けに、LINEで獣医師に無料でペットの相談をできる「どうぶつホットライン」を提供する
アニコム損保は保険加入者向けに、LINEで獣医師に無料でペットの相談をできる「どうぶつホットライン」を提供する

 寄せられる相談の件数は、月間で1000件に上る。「非常に満足度が高いサービスになっている」と小川篤志経営企画部長は言う。小川氏も元獣医師だ。開発の狙いは保険の継続率向上にある。より満足度の高いサービスを提供することで、継続的な契約を見込む。そのため、どうぶつホットラインは保険加入者に付加価値として無料で提供している。

 これはアニコム損保がLINEを活用したサービスの1つに過ぎない。同社は売り上げを増やす「攻め」と、既存のオペレーション負荷を下げてコストを減らす「守り」の両面でLINEとチャットbotを活用している。活用のきっかけは保険金精算の作業工数、および郵送コストの削減だ。守りへの活用を契機に、新規顧客に獲得や継続率の向上といった攻めの活用へと広げていった。

保険証忘れで保険金請求が大きな手間

 LINEを導入する上で、アニコム損保がこだわったのは加入者の利便性向上だ。元々、アニコム損保の強みは簡便さにある。加入者が動物病院に保険証を提示するだけで、保険が適応されて支払いが3割の負担で済む。これを「窓口精算」と呼び、対応病院は6400件を超える。人間向けの健康保険と同様の手続きで利用できる点が支持され、加入者を拡大している。

 寄せられる保険金の精算件数は年間300万件以上。「これは大手生命保険会社のおよそ2倍の数」(小川氏)に当たる。300万件の8割を占めるのが、保険証を提示して保険金を精算する一般的な利用法。残りの2割はというと、保険証を忘れた場合や病院が対応していないケースだ。その場合、アニコム損保に直接精算を申し込むことになる。これが利便性を阻害していた。

 精算に必要なのは保険金請求書と病院が発行した領収書、または診療明細書。これをアニコム損保宛に郵送する必要がある。窓口精算に比べれば大きな手間だ。

 一方、アニコム損保にとっても、直接精算はオペレーション負荷が大きい。精算する際、担当者が氏名、診療総額、診療日などを担当者がシステムに入力していく必要があるが、領収書などのフォーマットは病院によって異なる。これを管理する必要があり、「従業員の工数で言えば、8割のリソースが全体に占める2割の精算業務にかかっている状態」(小川氏)だった。加えて郵送コストや振込手数料を負担するため、収益を圧迫する。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>