今も多くの州で「外出禁止令」が発動されている米国だが、米ウォルマートなど大型スーパーは、売上高が前年同期比で20~30%もアップする“バカ売れ”状態になっている。一方で日本でも若者に人気のオーガニック店トレーダージョーズは、その人気故に店舗発の感染拡大に歯止めがかからない状態という。危機のさなかに生じたアイロニカルな米国小売りの現在を、在米流通コンサルタントの後藤文俊氏がリポートする。
ウォルマートは新型コロナの感染拡大を防ぐため、店舗への入場をより厳格化すると2020年4月3日に発表。翌4日から店舗面積1000平方フィート(約30坪)当たりのお客の数を5人以下に制限する施策を実施中だ。
平均店舗面積が17万8000平方フィート(約5000坪)の「スーパーセンター」では890人(178x5人)、10万5000平方フィート(約2900坪)の「ディスカウントストア」は525人(105x5人)、そして4万2000平方フィート(約1200坪)の「ネイバーフッドマーケット」は210人(42x5人)が、一度に入店できる客数となる。
スーパーセンターなど出入り口が複数ある大型店舗では、入り口を1つに絞り、客数が許容数を超えるとスタッフが入店を制限している。具体的には、「1アウト1イン(1-out-1-in)」と呼ぶ、お客が1人店を出るごとにお客を1人ずつ入店させるルールを導入している。
店内ではスタッフによる誘導に加えて、フロアに矢印マークが貼られ、ワンウェイ(一方通行)で売り場を巡るようにコントロールしている。スムーズな流れをつくり、お客同士が一定の間隔を保つソーシャル・ディスタンシング(Social Distancing)を実行するためだ。
筆者は4月8日、自宅近所のウォルマート・ディスカウントストアに赴き、入場制限などを実際に体験してきた。2カ所ある店舗の出入り口は、入り口と出口とに分けられ、入り口にいるスタッフがハンドカウンター(数取り器)片手に入場者を数えて、入場制限をしていた。
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