漫才の祭典「M-1グランプリ」の放送作家として知られる倉本美津留氏が特別ゼミを立ち上げた。その名も「人間力最大化計画」。1つの道を究めた成功者12人が講師となり、2020年5月から足掛け1年を費やし、次の日本を担う人材を育てる、「令和の松下村塾」とも言うべき試みだ。コロナショックに揺れる世界で、何を伝えるのか。構想の一端が単独取材で明かされた。

特別ゼミ「人間力最大化計画」に向けて構想を練る放送作家の倉本美津留氏(左)と、映画監督の樋口真嗣氏
特別ゼミ「人間力最大化計画」に向けて構想を練る放送作家の倉本美津留氏(左)と、映画監督の樋口真嗣氏

 2020年3月末、都内の一室で2人の巨匠による“作戦会議”が開かれた。ソファに腰かけ、言葉を交わすのは、放送作家の倉本美津留氏と、映画監督の樋口真嗣氏。会議といっても、ほとんど雑談に近い形で話は進んだ。

 「人間力最大化計画というタイトルの講座をスタートしようと思って」(倉本氏)

 「こんな小物でいいんですか」(樋口氏)

 「何を言っているんですか!樋口さんは人間力の塊みたいに僕は勝手に思っているんですけど」(倉本氏)

 倉本氏は、“街ブラ番組”の元祖と称される毎日放送「夜はクネクネ」で放送作家デビューし、今や年末の風物詩となった「M-1グランプリ」や、「ダウンタウンのごっつええ感じ」「伊東家の食卓」「たけしの万物創世記」「ダウンタウンDX」「HEY!HEY!HEY!」「松紳」など伝説的バラエティー番組を世に送り出してきた。

 一方の樋口氏は1985年公開の『ガメラ 大怪獣空中決戦』で特技監督を務め、第19回日本アカデミー賞特別賞を受賞。『ローレライ』、『日本沈没』、『のぼうの城』、実写版『進撃の巨人』など数々のヒット作を生み出し、2016年公開の『シン・ゴジラ』では第40回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀監督賞に輝いた。21年には『シン・ウルトラマン』の公開を控えている。

 お笑いと映画。異なるジャンルで日本のエンタメをけん引してきた2人が目指すのは、クリエイティブにものごとを考えて生き抜く「人間力」を授け、誰もが成功者になれると伝えることにある。生きにくい世の中だからこそ、「人間力最大化計画」と銘打ち、2020年5月15日から、1年間にわたる特別ゼミを始める。

 講師は、倉本氏、樋口氏だけではない。脳科学者の茂木健一郎氏、 宇宙理論物理学者の佐治晴夫氏、アートディレクターの森本千絵氏、コピーライターの小西利行氏、編集者・アートプロデューサーの後藤繁雄氏、アーティスト・アートディレクターのヒロ杉山氏、AR(拡張現実)開発ユニット「AR三兄弟」の川田十夢氏、フォトグラファーのほりたよしか氏、 CMディレクターの中島信也氏、音楽家の渋谷慶一郎氏を迎える。今をときめく各界のトップランナー計12人が名を連ねた。

講師を務める12人のトップランナー
講師を務める12人のトップランナー

 実は樋口氏を含め全員が、倉本氏の呼びかけに2つ返事で応じた。倉本氏いわく、眠った才能を発見し、引き出すことはお笑いの基本。しかし、新たな才能を開く運命的な出会いは、そう日常には転がっていない。だからこそ、自らの人脈を生かし、各界のトップランナーから生きた話を聞き、交流できる場を設けることにした。

 ただのビジネススクールと違うのは、受講すれば「確実に人生観や価値観が変わる」と保証している点にある。「他では絶対に聴けない、本当に大切なことを学べる場所にしたい。みんなが違うベクトルで、それぞれ培ってきた見識を伝え、すごいパワーでコミュニケーションが生まれていく。一人一人が何を持って帰るかは自由だが、この1年で人生が変わる。後の人生に必ず大きな影響を及ぼす場所になるようにセッティングした」(倉本氏)。

 東京・新橋のクリーク・アンド・リバー社を会場に、隔週金曜日の夜に1人2回ずつ、1年間で計24回の講義を展開する予定だ。20年4月1日時点で18歳以上であれば年齢不問。定員は50人。入学金5万5000円、受講料66万円(いずれも税込み)と安くはないが、その額に見合ったスペシャル講義を展開するという。

 新型コロナウイルスが猛威を振るい、世界に閉塞感が漂う中、まさに人間力が試される局面である。2人はどんなメッセージを届けようとしているのか。まずは、原点の記憶から語り始めた。

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