ファッション水着首位の「サンアイリゾート」と3位「ラウレア」が手を組んだ。ヤングを主戦場に強みと弱みを補完し合い共同戦線を張る。武器は親会社ワコールの「きれいに形づくる」機能を生かした傘下のAiのパターン(型)に、ラウレアが企画した柄や配色を加えてデザイン性を高めたコラボ水着だ。
力を合わせないと縮小の一途をたどる
ワコール傘下で全国に「San-ai Resort(サンアイリゾート)」を展開する水着・下着製造小売りのAi(アイ、東京・台東)と、都市圏で水着好きのコアファンが多い「LAULEA(ラウレア)」を運営する水着製造小売りのクレアヴィレ(大阪・箕面市)が、2020年1月、業務提携を結んだ。今後は水着とリゾートウエアの商品開発および販売で協業する。
San-ai ResortとLAULEAの“ダブルネーム”によるコラボ商品の登場は20年5月上旬。第1弾として14品番(うち水着12、リゾートウエア2)を発売する予定だ。双方のショップではコラボ商品の他、相手ブランドの商品も販売する。サンアイリゾートのルミネエスト新宿店(東京・新宿)では、既にラウレアの商品7品番の販売を20年2月から始めている。
ついにレディス水着業界は“商売敵”の商品まで売るようになった。今回両社が手を組んだ背景には、現状に対する強い危機感がある。
国内の水着市場規模はピーク時(1991年)の950億円から大きく縮小し、Aiの15年時の推計では約220億円。現在はさらに縮んでいる。人口減、少子化に加え、消費支出の多様化、女性の美白志向と、水着が売れなくなった理由は複数ある。15年ごろから中国製・韓国製などの低価格水着のネット販売が増え、さらに18年ごろからは洋服ブランドの水着への参入も目立つ。10代、20代のヤング市場は、パイの奪い合いが激化している。
「水着ブランドが多く出店する夏場の期間限定店で、一見のお客さんを数社で取り合う。こんなせめぎ合いの販売手法では長く続かないのではないか」とAiの伊藤哲郎社長は危機感を強める。クレアヴィレの松田晃一社長も「競合が激しさを増すなか、売り上げを上げることに力を注ぐあまり、商品の個性がなくなり、接客もおろそかになり、お客さま離れにつながっている」と市場の悪循環を指摘する。
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