経営コンサルティング会社と広告代理店。かつては「異業種」だったが、昨今は大手企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)案件などで激しく競合する「ライバル」に変わった。変化の裏に何があるのか。アクセンチュアのキーパーソンに聞いた。

 「すべてのビジネスはデジタルになる」。今のデジタルトランスフォーメーション・ブームを予見したかのようなリポートを2013年に発表していたのが、経営コンサルティング会社のアクセンチュアだ。

 自らもその担い手たらんと構造改革を進め、大手広告代理店の米ドローガ5(Droga5)やデザインファームの英フィヨルド(Fjord)、そして日本のマーケティング支援会社IMJなどを買収。事業領域を急速に拡大してDXという新市場で攻勢を強めている。

 そんなアクセンチュアグループのクリエイティブエージェンシー部門アクセンチュアインタラクティブでグローバル統括を務めるブライアン・ウィップル氏に、大手企業が求めるブランディングやマーケティング戦略の変化、「SDGs」(持続可能な開発目標)など新たな潮流への対応を聞いた。

ブライアン・ウィップル氏
アクセンチュアインタラクティブ・グローバル統括
1987年にアクセンチュア入社。戦略とコンサルティング実務を経験した後、2005年、広告代理店の米ヒル・ホリデーに転じてCOO(最高執行責任者)就任。10年にアクセンチュアに復帰して現職。18年米メディア「DIGIDAY」のチェンジメーカーに選出され、「Ad Week」の「パワーリスト」にも17、18年と2年連続でランクイン。米デューク大学ビジネススクールでMBA(経営学修士号)取得

ここ数年、経営コンサルティング会社が、クリエイティブや広告代理店の領域に進出するケースが増えている。広告代理店は逆に、コンサルティング領域やテクノロジー領域に攻め込み、かつての異業種企業がコンペで競合するという、かつてない状況が生まれている。アクセンチュアが採る戦略もこの流れにあるのか。

アクセンチュアはテクノロジー、ビジネスコンサルティング、クリエイティブといった(コンサルティングと広告代理店の領域をまたぐ)機能と組織を既に持っている。その点が、他のコンサルティングファームや代理店との違いだ。

 我々は自らを「エクスペリエンス・エージェンシー」と定義している。クライアントに対する提供価値の中心に「体験」を置いているからで、ここがライバルとの大きな差だ。

概念は分かったが、実際のコンペの場では、どのような会社と競合するのか。

広告領域なら英WPP、仏ピュブリシス、電通、博報堂などであり、eコマース領域ならIBMなどIT企業だ。

 代理店などと競合はするが、彼らとの違いは大きい。1つは、当社には大規模プロジェクトに対応できるテクニカルなリソースがあることだ。

 もう1つはスタッフの規模だ。アクセンチュアグループなら100人規模の専任者をインド、コスタリカ、クアラルンプールといった拠点から自由に選んでプロジェクトに配置できる。

 確かにアクセンチュアはマーケティング領域での歴史は浅いが、IT、テクノロジーの分野では歴史があり、ビジネスパートナーとして顧客からの信頼が厚い。だから大規模契約を結ぶのに足りる相手だとクライアントに見てもらえる。これは大きなアドバンテージだ。

体験価値に注力するのはなぜか。

1つは、企業におけるブランドのつくり方が変わってきたためだ。昔はブランドを広告宣伝で作れた。今は違う。消費者とのタッチポイント(接点)で、どんな体験を提供できるか。それが重要だ。

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