スマートフォンで中古車査定できるアプリ「GulliverAuto(ガリバーオート)」。中古車販売大手IDOM(旧ガリバーインターナショナル)が目指したのは、AI(人工知能)と人力を掛け合わせた“人肌UX(ユーザーエクスペリエンス)”だった。実は、AI開発失敗の経験が生かされていた。
プロの査定結果が手元にすぐ届く。IDOMが2019年9月12日にリリースしたスマホアプリのガリバーオートは、AIを使った「オート査定」で中古車業界に新風を吹き込んだ。
ナンバープレートと、運転席のメーターパネルをスマホで撮影し送信。すると、自動車検査登録情報提供サービス(AIRIS)のデータと照合し、車両番号や型式、車種名、メーカー名が自動入力される。あとは、グレードやボディカラー、修復歴やオプションの有無などを順にタップしていくだけで、オークション相場データに基づき、AIが瞬時に査定額を導き出す仕組みだ。登録できるのは3台まで。軽自動車の場合は別途車検証を撮影、送信する必要があるが、全体の流れは同じだ。
「チャット査定」のニーズが意外に高い
このアプリの肝は、AIと人力を組み合わせた点にある。高級車の限定モデルなど、そもそも査定実績が少ない車種は「手動査定中」と表示し、文字通り人の手で調べ、チャットで査定額を返答する。事故車買い取りのタウ(さいたま市)と連携し、故障車や水没車にも対応。査定額は7日間有効で、ワンタップで売却手続きへと進める。
「目指したのは、人肌のUX。最初からAIと人力のハイブリッド化をコンセプトに開発を進めた」と、IDOMでデジタルマーケティングのセクションリーダーを務める中澤伸也氏は舞台裏を語る。
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