クレジットカードの国際ブランド「Visa」を運営する米ビザ。同社としては異例となる人気お笑い芸人の「ぺこぱ」や「メイプル超合金」を起用したキャッシュレス普及プロモーションを3月に国内で開始した。ワールドワイドスポンサーとしてかかわる東京オリンピックの開催を前に、ビザ・ワールドワイド・ジャパン社長であるスティーブン・カーピン氏に単独インタビューを試みた。

2019年4月にビザ・ワールドワイド・ジャパン社長に就任したスティーブン・カーピン氏。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、ワールドワイドスポンサーである同社としては節目の年となる(写真/新関 雅士)
2019年4月にビザ・ワールドワイド・ジャパン社長に就任したスティーブン・カーピン氏。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年は、ワールドワイドスポンサーである同社としては節目の年となる(写真/新関 雅士)

 ビザの調査によると、2019年10月の消費増税に合わせて政府が導入した「キャッシュレス・消費者還元事業」が2020年6月末に終わるが、40%の人がキャッシュレス決済を引き続き利用すると回答したという。店舗側の“景色”も大きく変わっているようだ。同社のカード決済の国内月間取引件数については、19年10月が前年同月比で17%増、11月が15%増、12月が17%増となり、増税前より高い伸び率を示している。特にスーパーマーケットやコンビニエンスストアがいずれも27%増(19年12月)だったという。

 同社が今最も力を注ぐのが、クレジットカードを決済端末にかざすだけで済む非接触(コンタクトレス)型の「Visaのタッチ決済」だ。オーストラリアやニュージーランド、シンガポール、ロシア、スペインなどでは普及率が80%以上に及ぶ。国内では対応するクレジットカードが1900万枚(2019年末時点、前年比3.8倍)が普及し、2020年中に全発行枚数のうち半数が対応する見通しだ。決済件数も前年比5.8倍(2019年末時点)と驚異的な成長を遂げている。店舗でカードを店員に渡したり、PINコードを入力したりする手間が掛からず、平均約8秒で決済が完了する手軽さが受けている。

ビザ・ワールドワイド・ジャパン代表取締役社長スティーブン・カーピン氏を直撃

いよいよ「オリンピック・イヤー」が幕を開けましたね。ワールドワイドスポンサーとして東京オリンピック・パラリンピックにかかわる意義は、これまでとは何か違いますか。

私たち米ビザは1986年以来、オリンピックのワールドワイドスポンサーを30年以上(パラリンピックについても2003年から)務めてきました。毎回それぞれの国で、決済の体験を大きく加速させるような取り組みを開催期間中にしてきました。2020年の開催地である東京は、まだまだ決済において現金が大きな割合を占めています。ぜひ今回は、日本全国どこでもキャッシュレスこそがベストな決済手段だということをしっかり伝える良い機会にしたいと考えています。

 日本は今、本格的なデジタル社会へと歩み始めました。そこで、キャッシュレス化を推進することはとても大きな意味があります。金融機関などのクレジットカード発行する「イシュア」と加盟店開拓を進める「アクワイアラ」、そしてもちろん加盟店とも手を携えて、新しいテクノロジーを活用した様々なコンセプトを打ち出す場にすべく、現在準備を進めているところです。

 オリンピックに合わせて新たな決済体験を披露することには、とても大きな価値があります。そこで実証できたことが現地はもちろん、世界規模で広がっていく大きなきっかけになるからです。その意味でも、目覚ましい進化を遂げるようなワクワクする内容で注意を引くように知恵を絞っています。

 オリンピックやパラリンピックで頂点を目指すアスリートを支援するプログラム「Team Visa」も、私たちにとっては大きな意義のある取り組みです。9人の日本人選手をサポートしていますが、彼ら彼女らがアスリートとしてベストを尽くすお手伝いができることをうれしく思っています。

「新しいテクノロジーを活用した様々なコンセプトを打ち出す場にすべく、現在準備を進めているところです」(写真/新関 雅士)
「新しいテクノロジーを活用した様々なコンセプトを打ち出す場にすべく、現在準備を進めているところです」(写真/新関 雅士)

テレビCMなどを通じて「Visaのタッチ決済」を強くアピールしています。ただ、海外では普及しているものの日本人にはなじみがあまりません。普及させる自信はありますか。

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