カゴメは、自社商品のコアファンからの支持や声を重視するファンベースマーケティングを、特設サイト「&KAGOME(アンドカゴメ)」を軸に2015年から開始。19年には動画のライブ配信を本格的に活用してコアファンへの訴求を高めた。20年からはコミュニケーションアプリ「LINE」を用いて、コアファンへの“移行”にも力を入れる。
「2014年の調査で、購入金額の多い上位2.5%のユーザーが全社売り上げの30%を支えていることが分かった」
こう語るのは、カゴメ マーケティング本部広告部宣伝グループの水野慎也課長だ。この現状を踏まえ、カゴメのほうから購入金額の多い上位のユーザー、すなわちコアファンに近づき、つなぎ止めるための手立てとして、コアファンとのコミュニケ―ション活性化を狙った特設サイト「&KAGOME」を15年4月に開設。登録会員の募集を開始した。
具体的には、&KAGOME上にいくつもの欄を設け、登録したコアファンとコミュニケーションを図り、コアファンの満足度向上に努めてきた。例えば、カゴメの担当者やサイトに登録した会員が自由に利用できる掲示板機能や、カゴメからだけでなくファンの提案も載せるレシピ掲載欄などをサイトに実装。さらに、薬機法で禁じられているため商品の紹介ページでは触れられない効果・効能などを分かりやすく紹介する欄なども用意した。「狙い通り、会員によって活用され、サイトが活性化している」(水野氏)という。
ファンの声を反映した新商品を19年2月に発売
開始した15年4月から16年12月までを、会員を募る期間と位置付け、目標としていた1万人の登録会員の獲得に成功。これを受け、17年1月から18年12月までを、「(主に&KAGOME上で得られた)ファンの声をマーケティングに活用する期間」と定めた。
そうしてこの期間に得られたファンの声を生かし、カゴメは新商品を開発した。例えば、19年2月に新発売された「カゴメ濃厚仕立てのトマトソース」(チューブ版)。これは、1回の使用でトマトソースを使い切る必要がある従来の「カゴメ基本のトマトソース」(缶パッケージ)ではなく、もっと小分けに使え、しかも煮ることなくすぐにかけて使えるタイプが欲しい、というコアファンからの声に応えて開発したものだ。使用するトマトの量を「カゴメ基本のトマトソース」の1.5倍に増やし、煮込まずに使えるようにしてチューブで提供した。
ライブ配信の視聴回数は昨年の10倍以上
そして19年1月からは、さらなるマーケティングへの活用を試行する期間と考え、新たな施策に取り組んできた。その施策の1つが、動画のライブ配信の本格活用だ。
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