NTTが、外出が困難な体に障害のある人など向けに、ロボットを活用した“究極のテレワーク”のトライアルを始めた。オリィ研究所(東京・港)の分身ロボット「OriHime-D」を活用し、障害のある人が遠隔地から来客の案内業務を担う仕組み。分身ロボットが社会に溶け込む未来の現場に迫った。

NTTは本社受付に「OriHime-D」(オリィ研究所)を導入。遠隔地から「パイロット」が操作し、受付業務を担う
NTTは本社受付に「OriHime-D」(オリィ研究所)を導入。遠隔地から「パイロット」が操作し、受付業務を担う

 NTTは2020年2月20日、遠隔操作型の分身ロボットを活用した受付業務のトライアルを公開した。分身ロボットを遠隔操作し、来訪者を会議室まで誘導するものだ。

 会議室まで道案内をしてくれるのが、分身ロボットのOriHime-D。高さは約120センチメートルで、カメラやマイク、スピーカーを搭載する。インターネット経由で操作すると、前進後退・旋回が可能である。

 OriHime-Dの操縦者は「パイロット」と呼ばれ、遠隔地からパソコンやタブレットを使用してロボットを操る業務に就く。タブレットによる画面操作に加え、視線入力に対応しており、目の動きだけでも操作できる点が画期的だ。パイロットは来訪者をカメラ越しに確認でき、マイクやスピーカーを通じて会話もできる。

来訪者を先導し、会議室まで案内するのが主な業務
来訪者を先導し、会議室まで案内するのが主な業務

自宅や病院から操作し、会話でコミュニケーションも

 トライアルでは、拘束型心筋症で心臓移植を待つ坂本絵美さんが入院先の大阪府内の病院からパイロットとして参加。受付係の女性から来訪者の案内を頼まれた坂本さんはOriHime-Dを操作して「ゆっくりで申し訳ございませんが、着いてきてくださいますか?」と案内し、「どちらからお越しですか?」「私は大阪から操作しています」など、来訪者と自然なコミュニケーションを取っていた。

 OriHime-Dの移動スピードは大人がゆっくりと歩くような速度。もう少し速くなればより自然に案内ができるように思える点について、オリィ研究所の吉藤健太朗CEOは、「スピードはこれまであまり意識していなかったが、今後改良したい」とのことだ。

OriHime-Dの画面には、パイロットの名前や写真を表示。コミュニケーションを取りながら案内する
OriHime-Dの画面には、パイロットの名前や写真を表示。コミュニケーションを取りながら案内する

 NTTは東京都千代田区の本社ビルで今年3月末までトライアルを実施し、坂本さんに加えて、交通事故で脊髄損傷した愛知県在住の伊藤祐子さんにパイロットを依頼する。2人は月曜日から金曜日の13時~16時まで交代で案内業務に就く。「お客様の顔を見ながら歩くのは難しいが、パイロットとして働くことで社会と接点を持てるのが楽しい」(坂本さん)。

 実はNTTでは、全社員のうち2.43%が障害者として働く。NTTダイバーシティ推進室長の池田まどか氏は「今後も障害のある方の雇用拡大に努めたい」とし、その一環としてOriHime-Dに期待を寄せる。

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